
アメリカの老舗カットソーブランドとして長年にわたり支持されてきたVelva Sheen(ベルバシーン)。
その魅力は、シンプルながらもこだわりの詰まったデザインと、時代に左右されない普遍的なスタイルにあります。
特に肉厚で頑丈なTシャツや、丸胴仕様による着心地の良さなど、細部にまで意識が行き届いた物づくりの姿勢は、アメリカンヘリテージを色濃く残す存在として多くのファンを惹きつけています。
この記事では、そんなVelva Sheen(ベルバシーン)のブランドの起源や歴史、デザインの特徴とスタイルについてご紹介します。
Velva Sheen(ベルバシーン)の起源と歴史
起源と創業背景
Velva Sheen(ベルバシーン)は、1932年にアメリカ・オハイオ州シンシナティで誕生した老舗アパレルブランドです。
主にスウェットシャツやTシャツ、ジャケット、ジムショーツなどを製造し、カレッジ、キャンプ、学校、さらにはアメリカ海兵隊(USMC)にも制服用ボディとして広く使用されました。
創業以来、一貫して「MADE IN USA」を掲げ、創業当時の縫製手法やデザインを忠実に守り続けています。
それにより、着るほどに体に馴染むタフな質感のパックTシャツが高く評価されてきました。
歴史の変遷:拡大から低迷期へ
創業期から、Velva Sheen(ベルバシーン)は、アメリカ国内の大学やスポーツチーム、ミリタリーへの供給で着実にその地位を確立しました。
チューブラー編み(丸胴仕様)やオーバーロック縫製を用いた丈夫な基本ボディは、多くの支持を集めました。
しかし、1970年代から80年代にかけて所有権が変わり、90年代には経営が低迷し、ブラゾス・スポーツウェアによる買収と倒産(1999年)が重なり、一時ブランドの存続が危ぶまれました。
日本による再興:Topwin(トプウィン)の登場
日本のTopwin(トプウィン)社がVelva Sheen(ベルバシーン)のライセンス権を取得し、ブランド復興に乗り出し、アメリカの伝統と品質を尊重しつつ、日本から再びブランドが息を吹き返しました。
復興後、Topwin(トプウィン)は、オリジナルロゴや「Cincinnati, OH, MADE IN USA」のタグ、パッケージ、縫製方法などを忠実に復刻し、米国内(カリフォルニア)で製造。
高品質なブランドの再構築に成功しています。
現代におけるVelva Sheen(ベルバシーン):品質と持続可能性
今日、Velva Sheen(ベルバシーン)は世界で150を超える取り扱い店を通じて、季節ごとの新作ラインを展開しています。
すべての生地、糸、トリムは米国製で構成され、日本からはループホイールニットを一部に採用して品質向上と持続可能性の両立を図る供給体系が整備されています。
さらに、日本のセレクトショップ「HIGH! STANDARD」との別注モデルの開発にも注力しており、ノースカロライナ産のドライタッチなコットン使用やオープンエンド紡績による独特な厚み・風合いを持つパックTシャツなどが話題に。
シリーズ展開:多彩なレーベルによるラインアップ
Velva Sheen(ベルバシーン)は、シリーズ別に異なる特徴を持たせた豊富な展開を行っています。
BLUE LABEL(ブルーレーベル)では、パックTEEやカットソー・スウェットなどベーシックなオールシーズンアイテムを、白・黒・グレー・ネイビーなどの定番色で展開し、「MADE IN USA」らしい質感を伝えます。
YELLOW LABEL(イエローレーベル)は、1970〜80年代のイエロータグを復刻し、2010年春夏からスタート。
スラブ生地を採用し、ヴィンテージ風のくたっとした質感とカレッジテイストのプリントが魅力です。
WHITE LABEL(ホワイトレーベル)は2015年秋冬に始まったシリーズで、1980年代のネームタグを再現し、テーマ性のある加工や仕様を施した特別アイテムを展開しています。
MADE IN JAPANシリーズでは、和歌山県の吊り編み機による希少なスウェットを生産。
職人の手による繊細なディテールと日本ならではの高品質を追求しています。
Velva Sheen(ベルバシーン)は、約90年以上にわたって“Made in USA”の品質を守り続けたブランドであり、その耐久性と着心地の良さは、アメリカンカジュアルの象徴とも言える存在です。
時代の変遷や経営の浮き沈みの中でも、日本の企業とクリエイティブの力によって復興を果たし、今なお進化を続けています。
各シリーズのラインナップは、ブランドの歴史性と現代性を併せ持ちながら、着る人に安心と着心地、そしてアメリカンヘリテージへの深い愛着を感じさせる、他に類を見ないブランド展開です。
デザインの特徴とスタイル
シンプルながら洗練されたミニマルデザイン
Velva Sheen(ベルバシーン)の最大の魅力のひとつは、装飾を極力排し、ベーシックでクリーンなデザインを追求している点です。
無駄な切り替えや派手なプリントを避けながらも、上質感のある素材と丁寧な縫製により「洗練されたミニマリズム」を体現しています。
そのデザイン哲学が、年代やトレンドを超えて幅広いコーディネートに溶け込む汎用性と、このブランド独自の品格を両立させています。
丈夫さと着心地を両立させる構造と素材
Velva Sheen(ベルバシーン)は、着込むほどに体に馴染む「頑丈で肉厚なパックTシャツ」が代表的です。
その厚みある質感と、胴部分に縫い目のない丸胴のチューブ編み(シームレス仕様)により、着心地のストレスを軽減しつつ、耐久性を高めています。
こうした構造から生まれる「実用性と快適さ」が、多くのファンの支持を得ている要因です。
オープンエンド糸とコットンの風合い
Velva Sheen(ベルバシーン)のTシャツには、ノースカロライナ産のコットンを原料にしたオープンエンド糸が多く用いられています。
この紡績技術により、少し粗さの残る「わずかにごわついた独特の風合い」と「厚みとボリューム感」が生まれます。
素材そのものが表情豊かであり、ヴィンテージライクな味わいを醸し出すことで、長く愛されるTシャツとしての魅力を備えています。
豊富なスタイルと多彩なレーベル展開
Velva Sheen(ベルバシーン)は、単に基本的なTシャツを作るにとどまらず、多種多様なスタイルを用意し、それぞれに特色あるラインを展開しています。
カジュアルな半袖・長袖だけでなく、クルーネックやVネックといったデザインのバリエーションもあり、着用シーンや好みに応じた選択が可能です。
また、BLUE LABEL、YELLOW LABEL、WHITE LABEL、MADE IN JAPANといったレーベルを通じて、それぞれ異なる印象や世界観が表現されています。
別注アイテムに見られるさらに深化したデザイン
Velva Sheen(ベルバシーン)は、セレクトショップ「HIGH! STANDARD」との別注アイテムにおいても、デザイン性と着心地への強いこだわりを見せています。
たとえば、ネックリブを詰まりすぎず広すぎない塩梅に仕上げることで、1枚でもインナーでも幅広く着用できる汎用性を確保しています。
さらに、パッケージや背タグのフォントにも古き良き1980年代のブランドロゴを採用するなど、細部にまで歴史性と個性を反映したデザインが際立っています。
全体としての印象:時代を超えて愛されるスタイル
Velva Sheen(ベルバシーン)のデザインの特徴とスタイルは、ミニマルでありながらこだわりが詰まった「質実剛健なアメリカンベーシック」であり、長年培われたクラフトマンシップによって紡ぎ出されています。
厚手のボディと丸胴仕様による着心地、オープンエンド糸がもたらすヴィンテージ感、日常に溶け込むシンプル感、そして別注で見られる緻密な演出…これらすべてが「着るたび愛着が増す」デザインとして、Velva Sheen(ベルバシーン)の魅力を確固たるものにしています。
まとめ:Velva Sheen(ベルバシーン) ブランドリリース
Velva Sheen(ベルバシーン)は、1930年代から続くアメリカ発の老舗ブランドとして、現在に至るまで一貫して「普遍的なデザイン」と「高い品質」を追求してきました。
シンプルで着回しやすいスタイルながら、丸胴仕様やオープンエンド糸など、見えない部分にまでこだわり抜いた設計が、その価値を何十年にもわたり証明し続けています。
また、日本市場においても独自の別注やシリーズ展開によって、現代のファッションニーズに応える進化を遂げています。
トレンドに左右されず、日常に溶け込む確かな存在感を放つVelva Sheen(ベルバシーン)は、これからも長く愛され続けるブランドであることに疑いはありません。
PROFILE
- メンズファッション専門WEBライター
- 古着屋「GARATOIRO」「BUYER'S GARMENT」を運営する元メンズアパレルデザイナー。
セレクトショップのECサイト運用担当後、WEBマーケティング業界に従事し、事業部長などのキャリアを経験。
起業後は30万人以上のファッションユーザーに利用されるWEBメディア「IDEALVINCI」専属ブロガーとしても活躍。「メンズ古着」「リユースファッション」などの情報も発信。
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