
アメリカを代表するアンダーウェアブランドとして長年親しまれてきたHANES(ヘインズ)は、その快適性とベーシックな美しさで多くの人々を魅了し続けています。
無駄をそぎ落としたシンプルなデザインのなかに、日常使いに耐える確かな品質と、現代のライフスタイルに寄り添う機能性を備えている点が大きな特徴です。
特に日本市場では「ジャパンフィット」や「BEEFY」シリーズなど、体型や着心地にこだわったラインナップが高く評価されており、ファッションアイテムとしての価値も年々高まっています。
この記事では、そんなHANES(ヘインズ)のブランドの起源や歴史、創業者の背景、デザインの特徴とスタイルについてご紹介します。
HANES(ヘインズ)の起源と歴史
起源 ― 創業者と最初の歩み
HANES(ヘインズ)は、1901年にアメリカ・ノースカロライナ州ウィンストンセーラムで、プレザント・ヘンダーソン・ヘインズ(Pleasant H. Hanes)とその兄ジョン・ウェスレイ・ヘインズ(John Wesley Hanes)によって「P・H・ヘインズニッティング社(P.H. Hanes Knitting Company)」として設立されました。
彼らはもともとタバコ産業に関わっていたものの、その利益を元手にタバコ工場を縫製工場へ改造し、紳士用アンダーウエアの製造を始めたのが最初のステップです。
ブランドの発展 ― 合併とアイデンティティ確立
HANES(ヘインズ)の名前を冠したブランドとしての肝となる出来事がいくつかあります。
まず、1924年に“赤ラベル(Red Label)”が登場し、商品に赤いブランドロゴを付けることでブランドイメージの統一を図りました。
これにより、「ヘインズ」の名前とロゴが消費者に浸透するようになります。
その後、兄弟それぞれの会社が競う形で発展したのち、1965年にP.H.ヘインズニッティング社とヘインズ・ホージエリー・ミルズ(Hanes Hosiery Mills)が合併し、現在のHANES(ヘインズ)ブランドを基盤とするコーポレーションが誕生しました。
製品展開と革新 ― アンダーウェアからTシャツ、ホーズリーまで
初期は紳士用アンダーウェアが中心でしたが、時間とともに製品の範囲を拡大していきます。
1930年代に入ると、現在のブリーフ(brief)の原型にあたるニット素材の紳士用ブリーフ「スポーツ」モデルを発売し、カラーバリエーションを豊富にする等、アパレルとしての魅力を高めていきます。
また靴下やホーザリー(ストッキング/hosiery)分野の開発にも早くから着手し、綿・ナイロンなど新素材を取り入れることで女性用ホーズリーなどの製品を改良。
特に1938年にはデュポン社のナイロンを使うなど、シルクに代わる素材の応用で業界をリードしました。
HANES(ヘインズ)の国際展開と日本での歴史
日本においてもHANES(ヘインズ)は広く知られるブランドであり、その公式サイトでは、1901年創業以来「コンフォート(快適さ)」を最も大切なコンセプトとして、多くの魅力ある製品を生み出してきたことが紹介されています。
特に日本市場向けに「Japan Fit」ラインを2014年にローンチし、その翌年にはより上位グレードの「HANES PREMIUM」ラインを投入するなど、日本での顧客の体型や好みに応じた製品展開を強化してきました。
近代 ― コーポレート構造と現代ブランドとしての地位
HANES(ヘインズ)の親会社であるHanesbrands Inc.は、2006年にサラ・リー(Sara Lee Corporation)からアパレル部門が分社化されて設立され、以降、世界中でアンダーウェア、Tシャツ、ソックスなど「ベーシックで快適な衣類」の大手ブランドとして位置づけられています。
ブランドの革新として、タグレス(首元のタグをなくすなど肌へのストレスを減らす工夫)、快適性(ComfortBlend等の素材技術)、さらにはパックTシャツ(複数枚セット商品)など、日常着としての使いやすさを追求する製品が多いことも特徴です。
HANES(ヘインズ)は、20世紀初頭のアメリカ南部で紳士用下着の製造者として生まれ、兄弟による複数企業の設立と合併、ロゴやブランドラベルの統一、素材や製品の革新を重ねながら成長してきました。
日本市場でも「快適性」「ベーシックで使いやすい」「体型にフィットする」ことを重視するラインナップで、多くの人々に支持されており、今日では世界の衣料ブランドの一角を担う存在となっています。
HANES(ヘインズ)の創業者について
プレザント・ヘンダーソン・ヘインズの生い立ち
HANES(ヘインズ)の創業者のひとり、プレザント・ヘンダーソン・ヘインズ(Pleasant Henderson Hanes)は、1845年10月16日、アメリカ合衆国ノースカロライナ州のデイビー郡フルトンに生まれました。
彼は沢山の兄弟姉妹のうちの第六子であり、農業、たん皮加工業、製材業などを営む家系の出身です。
民俗・教会との関わりが深い家庭で育ったこともあり、地元コミュニティに根ざした人物として知られています。
タバコ事業からアパレル業への転換
若いころ、プレザント・ヘンダーソン・ヘインズと弟のジョン・ウェスレイ・ヘインズは、タバコ事業に携わっていました。
1872年にはP.H.ヘインズ・タバコ・カンパニー(P.H. Hanes Tobacco Company)を設立し、タバコの製造を経営していました。
彼らはその後、1900年にこのタバコ事業をR.J.レイノルズ・タバコ・カンパニーに売却します。
これが、ヘインズブランドの展開における大きな転機となりました。
タバコ事業を手放した後、プレザントはアパレル、特に紳士用・婦人用・子供用のアンダーウェアの製造に着手することを決断します。
1901年、彼はP.H. Hanes Knitting Companyを設立し、アンダーウェアの製造を始めました。
これが今日のHANES(ヘインズ)ブランドの発端です。
事業の拡大と家族による継承
プレザント・ヘンダーソン・ヘインズは、P.H. Hanes Knitting Companyの創業後、その品質と生産技術に力を入れ、紳士用アンダーウェアの製造を軸に事業拡大を図りました。
彼はまた近代技術の導入や、素材の研究改良にも関心を持っていたことが知られています。
1925年にプレザント・ヘンダーソン・ヘインズが亡くなった後、息子のP.フーバー・ヘインズ(P. Huber Hanes)が事業を継承しました。
さらにその後はP.フーバー・ヘインズ・ジュニアが経営を引き継ぎ、会社を現在に至るまで発展させていきます。
ジョン・ウェスレイ・ヘインズの役割
プレザント・ヘンダーソン・ヘインズの弟、ジョン・ウェスレイ・ヘインズ(John Wesley Hanes)もまた重要な創業者のひとりです。
彼はP.H.ヘインズと並行して、シャムロック・ニッティング・ミルズ(Shamrock Knitting Mills)を設立し、その後これがヘインズ・ホージエリー・ミルズ(Hanes Hosiery Mills)へ発展します。
ジョン・ウェスレイ・ヘインズは靴下やストッキングの分野も含めた製造の拡大に寄与し、プレザントとの合流(1965年の合併)により、HANES(ヘインズ)というブランドがより強固なものとなっていきました。
創業者としてのレガシーと評価
プレザント・ヘンダーソン・ヘインズはただ会社を設立した人物というだけでなく、品質の向上、新素材の導入、製品ラインの拡充など、多様な面で先見性を持っていた事業家として評価されています。
彼が築いた会社の基盤がその後のHANES(ヘインズ)ブランドの「快適さ」「ベーシックでありながら信頼できる下着・衣料」のイメージを確立する礎となったことは間違いありません。
また、彼とジョン・ウェスレイ・ヘインズの兄弟が互いに異なる分野(アンダーウエアとホージャリー等)で先進的な事業を展開し、それが1965年の合併によって統合されたことが、ブランドの歴史を語るうえで重要な要素です。
デザインの特徴とスタイル
ベーシックさと実用性を重視するデザイン哲学
HANES(ヘインズ)のスタイルでまず目立つのは、「必要以上に飾らないベーシックな美しさ」と「普段使いに耐える実用性」の両立です。
色使い、ディテール、シルエットのいずれも、流行に左右されすぎず、「何年着ても価値がある」ものを作る姿勢が随所に現れています。
具体的には、白・ネイビー・黒などのベーシックカラーを中心に、無地またはロゴが控えめなものが多く、極端に派手な装飾は少ないという点がその証拠です。
これは日本のファッションメディアにおいて「クセがなく、どんなコーデにも合わせやすい」ことが高く評価されています。
また、生地の質感や縫製仕様にもこだわりがあり、着心地を損なわない工夫が見られます。
「タグレス仕様」や「丸胴編み」「肩テープ仕様」などがその代表です。
これらは、肌へのあたりをやさしくし、ストレスを軽減するための設計で、日常使用での快適性を重視するユーザーに支持されています。
日本人の体型を意識した「ジャパンフィット」ラインの特徴
HANES(ヘインズ)は特に日本市場向けに「ジャパンフィット」シリーズを展開しており、このラインには日本人の体型特性を反映させたデザインが多く取り入れられています。
たとえば着丈を従来のアメリカンフィットのモデルより短めに設計し、アームホールを絞ることで腕周りがだらしなく見えないようにするなど、日本人の身長・体形にマッチする調整がなされています。
また、ジャパンフィットでは肌ざわりにも配慮がされていて、「ガーメントウォッシュ加工」が施されており、購入直後からしなやかさを感じられるような風合い作りをしていたり、生地の縮みを抑える設計がされているものがあります。
これは、一般的なコットン100%モデルと比べて洗濯後の使いやすさが向上している点として、日本での評判につながっています。
重厚感と耐久性を打ち出す「BEEFY(ビーフィー)」の存在感
HANES(ヘインズ)のラインナップの中でも「BEEFY(ビーフィー)」シリーズは、特に「ヘビーウェイト」「厚手の生地」「丈夫さ」がキーワードとなるモデルです。
肉厚なコットン素材を用い、Tシャツとして一枚で外出に使える強度を持たせており、洗うほどに肌に馴染む風合いが出てくる点が魅力です。
シルエットはゆったりめ、身幅広めで、肩幅や身幅に余裕のある「ボックスシルエット」が好まれます。
これにより1枚で着た時の存在感と安心感があり、カジュアルスタイルをベースにアクセサリーやアウターを重ねてもバランスが取りやすい設計とされています。
ラベル別の素材感と用途への適応
HANES(ヘインズ)にはいくつかのラベル/ラインがあり、それぞれに素材感や用途に応じたデザイン上の特徴があります。
赤ラベルは綿100%で柔らかく肌触りが良い基本モデルとして位置づけられ、日常使い・インナーに適します。
青ラベルは綿・ポリエステルの混紡素材で速乾性・型崩れしにくさを重視させたモデルです。
ゴールドラベルはプレミアムコットンを用い、見た目質感・風合い・着心地の高級感がプラスされています。
これらの違いが、価格と用途のバランスを選ぶ際の判断基準を提供しています。
静かなトレンド対応とコラボ・別注の活かし方
HANES(ヘインズ)はトレンドを追うブランドではないものの、時代に応じた調整と別注アイテムで新鮮さを保つ手法をとっています。
たとえばセレクトショップとの別注モデルでは、定番のパックTの仕様を微調整したり、パッケージやロゴの色味を変えたりすることがあります。
こうした別注企画は、ファッション好き・コレクターにとっての魅力となり、ブランドのスタイル理解が深まります。
HANES(ヘインズ)のデザインは、「シンプルさ」と「機能性」が高い次元で融合しており、日本人にとっては特に「ジャパンフィット」シリーズや「BEEFY」シリーズがその双方を強く代表するものです。
装飾を抑えて素材・縫製・シルエットで差をつけ、日常生活での快適性を追求するスタイルこそが、HANES(ヘインズ)が長く支持される理由といえるでしょう。
今後もその“静かな進化”に注目が集まるブランドです。
まとめ:HANES(ヘインズ) ブランドリリース
HANES(ヘインズ)は、アメリカ発のアンダーウェアブランドとして誕生して以来、一貫して「快適さ」と「ベーシック」を追求したデザインを貫いてきました。
無駄な装飾を排しながらも、日常着としての実用性や着心地の良さを高める工夫が随所に見られ、特に「ジャパンフィット」や「BEEFY(ビーフィー)」といったシリーズでは、日本人の体型やライフスタイルに合わせた独自のスタイルが確立されています。
また、用途や好みに応じて選べる多様なラベル展開や、セレクトショップとの別注企画によって、ベーシックでありながら新鮮な魅力を常に保ち続けている点もHANES(ヘインズ)の大きな強みです。
シンプルであるがゆえに、時代を超えて愛されるHANES(ヘインズ)のデザインは、今後も変わらぬ支持を集め続けることでしょう。
PROFILE
- メンズファッション専門WEBライター
- 古着屋「GARATOIRO」「BUYER'S GARMENT」を運営する元メンズアパレルデザイナー。
セレクトショップのECサイト運用担当後、WEBマーケティング業界に従事し、事業部長などのキャリアを経験。
起業後は30万人以上のファッションユーザーに利用されるWEBメディア「IDEALVINCI」専属ブロガーとしても活躍。「メンズ古着」「リユースファッション」などの情報も発信。
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