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atoの歴史と特徴【ブランドリリース】

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atoの歴史と特徴【ブランドリリース】

ato

1993年の創設以来、繊細かつ構築的なデザインで注目を集めてきたブランド、ato(アトウ)

その独自性は、ただの服飾デザインにとどまらず、「身体性」や「永続性」というコンセプトを軸に、現代的かつタイムレスな美を追求し続けています。

フォルムに宿る思想、緻密なパターンワーク、そして性別やジャンルを超えたスタイル提案など、ato(アトウ)の服にはデザイナー松本 与(まつもと あとう)の哲学が色濃く投影されています。

この記事では、そんなato(アトウ)のブランドの起源や歴史、創業者・デザイナーの背景、デザインの特徴とスタイルについてご紹介します。

 

ato(アトウ) ブランドの起源と歴史

ブランド設立の背景と創始者

ブランド ato(アトウ)は、1993年にデザイナー 松本 与(Ato Matsumoto)によって創設されました。

創業当初、松本氏はパタンナーを務める友人らとともに3人でブランドを立ち上げ、同時に南青山に自らのショップを開設しました。

ただし、設立から間もなく方向性の相違により運営陣が変動し、最終的には松本氏がブランドの舵を取る形になりました。

 

“Permanent clothes(永続性のある服)”を理念のひとつに据え、年を重ねても陳腐化せず、他の時代の服とのコーディネートが可能であり、10年先も定番として成立しうるデザインを目指すという考え方が、ato(アトウ)の根底にあります。

 

初期の展開とコレクション発表

設立直後の1994年、ato(アトウ)はメンズウェアのショー形式コレクションを発表することで、その存在感を表舞台へと押し出していきます。

その後、ブランドは国内のファッションシーンで徐々に注目を集め、1999年には国際展開の第一歩としてパリで展示会を行い、北米やヨーロッパを含む複数国での取り扱いが始まりました。

2000年春夏シーズンには、パリで正式にコレクションを発表。

以降、ato(アトウ)は国際舞台での存在感を強めていきます。

 

レディースラインとブランド拡張

ブランド設立から約10年後の2003年秋冬シーズン、ato(アトウ)はレディースラインを始動させ、性別を問わずその美意識を拡張する方向へと舵を切りました。

松本 与氏は、2007年にはレディースブランド「インディヴィ(INDIVI)」のクリエイティブ・ディレクターも兼任するようになり、より幅広い視点でのデザイン活動を展開していきます。

また、2015‐16年秋冬シーズンにはアクセサリーライン「A」をローンチするなど、ato(アトウ)は衣服以外の領域にもその表現を拡げています。

 

デザイン美学とものづくりのスタンス

ato(アトウ)は、「身体を個性の象徴」と捉え、立体裁断や仮縫い、トワル検討など細部へこだわるものづくりを貫いています。

各アイテムには、服のシルエットや動きを意識した構築性が重んじられており、テーラードジャケットなどでは美しい立体性が一目でわかるデザインとなっています。

 

興味深い点として、ato(アトウ)では各服に パタンナーネームを記す制度を採用しています。

これは、デザイナーだけでなくパタンナーも一つの創造者として尊重し、チームとして良質な服をつくるという理念の具現化といえます。

 

ato(アトウ)の服づくりは、ただ流行を追うのではなく、長年にわたって着続けられる普遍性と、その時代を超えて他のアイテムと調和する柔軟性を追求するものです。

特にテーラードや構築的なフォルムに対するこだわりは国内外で高い評価を得ており、ato(アトウ)は日本のものづくりとデザインが融合するブランドとしてその地位を築いてきました。

 

現代に至る歩みと展望

今日においても、ato(アトウ)は定期的にコレクションを発表し続けており、2025年秋冬コレクションなどの最新コレクションもファッションメディアで紹介されています。

青山本店ではブランドの歴史を振り返る展示イベント “ato history” を開催し、これまでの歩みを伝える場づくりも行われています。

 

こうした活動は、ato(アトウ)が単なるアパレルブランドではなく、時間と共鳴する思想やものづくりを内包する存在であることを示しています。

将来においても、ato(アトウ)は創設時から掲げる “永続性のある服” の理念を保持しながら、素材・技術・表現領域の深化を通して、新しい価値を提示し続けることが期待されます。

 

ato(アトウ)創業者 松本 与 (まつもと あとう)

創業者:松本 与(Ato Matsumoto)という人物像

ブランドato(アトウ)の創設者でありデザイナーとしてその根幹を支えるのは、松本 与(まつもと あとう / Ato Matsumoto)です。

松本 与の生い立ち、経歴、そしてファッションへの志向、これらがato(アトウ)の世界観やものづくりの哲学に深く結びついています。

 

生い立ちと家系背景

松本 与は1962年8月30日生まれで、松本家の長男として育ちました。

彼の家系には、技術と事業性、そして文化的背景が入り混じる複合的な要素が見られます。

例えば、父親である松本 冠也は、電機メーカー・パイオニア(Pioneer)の会長を務めた人物であり、祖父にあたる松本 望はパイオニア創業者でもあります。

また、母方の系譜にも歴史的な人物が名を連ねており、維新期の政治的な系譜と繋がるという記述も存在しています。

このような出自は、単なる“ファッション”の枠を超えて、「伝統」「技術」「文化的な継承性」に対する意識を、無意識的にも松本 与に与えた可能性があります。

 

学業・留学と転機

松本 与は大学で工学部、電子工学を専攻していたとされ、「ものづくり」に対する技術者的な視点を養っていました。

その後、洋服やファッションに対する関心を追求するため、ニューヨークのファッション工科大学へ留学しました。

この留学経験により、洋服の基礎や現地での空気感・表現の幅を肌で感じ、帰国後の創作意欲を決定づけた節があります。

 

興味深いことに、最初からファッション業界に飛び込んだわけではなく、帰国後はサラリーマンとしての就業経験もあったそうです。

しかし、次第に「自分で何かをつくりたい」「発信したい」という思いが強まり、グラフィックデザインの仕事を経て、最終的に洋服という表現の場にたどり着いたとされています。

 

ブランド立ち上げとato(アトウ)設立

1993年1月、松本 与はato(アトウ)を設立し、オリジナルのメンズウェアの企画・製造・販売を開始しました。

同時に、南青山にフラッグショップをオープンさせ、ブランドとしての拠点を早期に確立しました。

当初、松本 与はパタンナーを務める友人らと3人でブランド運営にあたっていたものの、運営方針や方向性の違いが生じ、最終的には松本 与がato(アトウ)のみを継続する形となったと記録されています。

設立翌年には早くも東京コレクションに参加。

94年11月にはメンズコレクションを青山のショップで発表し、国内の注目ブランドとしての地盤を築きます。

 

デザイン思想とものづくりの核

松本 与が手がけるato(アトウ)のデザインには、一貫して「形=フォルム」「身体性」「立体裁断」が強く意識されています。

彼は「身体を個性の象徴と捉え、パターンにこだわる」という信念を持ち、それぞれのアイテムを立体裁断で制作することで、服そのものが着る人の個性と調和するようなシルエットを追求しています。

また、ato(アトウ)の服には、デザイナーだけでなく各パタンナーネームを記す制度を導入しており、チームのクリエーションに対する尊重と責任を可視化する仕組みとして知られています。

 

松本 与は、時代の変化や消費者の価値観の移り変わりを敏感に感じ取りながら、しかし「着る人を主役にする服」という原点を揺らがせないと語っています。

また、2010年頃に発表形式をショーから展示会形式へ切り替えた背景には、「服そのものの実体を見せたい」という彼の思いも垣間見えます。

 

拡張と影響範囲

松本 与は、ato(アトウ)の活動以外にもファッション界での役割を広げています。

2007年からは婦人服ブランドINDIVI(インディヴィ)のクリエイティヴ・ディレクターも兼任し、異なる視点からのデザイン表現にも関わるようになりました。

また、THE TWELVE(ザ・トゥエルヴ)といった関連ブランドプロジェクトにも関与したという情報も見られ、松本 与のデザイン領域の拡張ぶりが伺えます。

 

彼の影響は国内にとどまらず、国際的にも認知され、ato(アトウ)は2000年にはパリでコレクション発表を行い、以後欧米を中心とした海外展開を積極的に展開しています。

 

創業者としての存在意義

松本 与とは、単にデザインを手がけるクリエイターではなく、ブランドを育て、思想を体現する立役者です。

家系に根ざす技術・文化の継承、工学的な思考、留学経験、そしてファッションへの強い志、これらがすべて彼の創造力の根幹を支えています。

ato(アトウ)を通じて表現される「永続性のある服」「身体性」「個性を引き出すフォルム」は、松本 与自身の人生観と創造哲学そのものといえるでしょう。

将来においても、彼が培ってきた基盤をベースにさらに深みある表現が生まれていくことが期待されます。

 

ato(アトウ) デザインの特徴とスタイル

フォルムを表現する立体裁断とパターンへのこだわり

ato(アトウ)のデザインにおいて、もっとも根幹をなす特徴は「フォルム=形」を重視した設計であり、その実践として 立体裁断を徹底している点です。

公式サイトでは、すべてのアイテムを立体裁断で作っている理由として、「フォルムはデザインであり、身体という個性を意識させるシルエットを目指しているから」と記されています。

 

この発想の延長線に、ato(アトウ)では、パターン=型紙設計の段階に細心の注意が払われます。

つまり、単に布を切って縫い合わせる服作りではなく、布が立体に立ち上がるための構成をパターン段階で検証し、仮縫い→調整→サンプルという流れを丁寧に重ねていく制作プロセスが根付いています。

「実際の生地を使ったトワル組みから、立体裁断による仮縫い、サンプル製作、量産まで、細かく手間をかけて行っている」と語っており、ato(アトウ)のものづくりの丁寧さを裏付けています。

 

このようなアプローチにより、ato(アトウ)の服はただ服として存在するだけでなく、「着る人の身体と調和する、流れるような流線的な表情」を帯びたフォルムを実現します。

その結果、服が“被服”であると同時に“彫刻的な立体物”と呼ぶにふさわしい存在感を持つことがあります。

 

永続性(Permanent clothes)という設計意図

ato(アトウ)は「Permanent clothes=永続性のある服」をコンセプトに掲げ、時が経っても価値を失わず、他の時代の服と調和することを意図したデザインを追求しています。

([fashion-press.net](https://www.fashion-press.net/brands/67))

この考え方は、単なる流行のフォローを避け、長く愛用されうる普遍性と余白のある余裕を服に持たせる設計へとつながります。

 

すなわち、ato(アトウ)の服にはしばしば「余白」が残されており、体型変化や着る人の個性変化にも対応しうるデザイン的な余裕があるように見えることがあります。

こうした設計は、作品性と実用性を両立させようとするブランドの姿勢の現れでもあります。

 

ミニマリズムとトラッドの融合、ユニセックス性の追求

ato(アトウ)の最近のコレクションやインタビューからは、ミニマリズムやトラッド、そしてユニセックス性を取り込む試みが見て取れます。

デザイナー松本 与氏は、テーラードやトラッドの要素を取り入れながらも、シンプルなアイテムを加え、「テーラードのフォーマル感を取り除き、リアリティのあるスタイル」を目指すデザインを語っています。

 

その中で特に強調されるのが「性別の差(“男女の性差”)」をなるべく希薄化し、ミニマルで共有可能なアイテムを生み出すこと。

松本 与氏は、あるシーズンで “UNISEX” をテーマに掲げ、フォーマルとカジュアル、男性性と女性性の融合を目指しました。

このような設計思想は、ato(アトウ)が従来の性別・ジャンルの枠を越える服作りを意識していることを示しています。

 

ディテールへのこだわりと実験性

フォルム・シルエット・ラインを重視する傾向が強い一方で、ato(アトウ)は細部や素材、構造上の変化も恐れないデザインアプローチを見せています。

たとえば、パンツにおいては ラップパンツやサルエルパンツのようなデザイン変形を導入することで、定番的枠を揺さぶる要素を加える試みもあります。

 

また、コレクションを重ねるごとに、素材の選定・テクスチャー使い・縫製・仕上げの処理などにおいて、遊びと制御のバランスを探る実験的なアプローチが見て取れます。

例えば、生地の落ち感を活かした揺れ動くライン、異素材の組み合わせ、ドレープ表現など、フォルムの中に変化の予兆を含ませるデザインが散見されます。

 

スタイル感 — 静と動、美と実用の併合

ato(アトウ)のスタイル感を一言で言うならば、「静と動、その中間にある緊張感を併包する服」と言えるでしょう。

見た目にはシンプル・洗練された印象を持たせながらも、着用者の動作・姿勢・体型変化によって微細に変化する線や陰影を見せる設計意図を感じさせます。

 

このようなスタイル性は、「服そのものを殺さず、着る人の個性を引き立てる」ことを目指すato(アトウ)の思想とも深く結びつきます。

静けさと余裕を備えたフォーマルライン、そして動きを許容する柔軟な構造性が、ブランドのアイコン性を際立たせています。

 

ato(アトウ)のデザインが語るもの

ato(アトウ)のデザイン特徴とスタイルには、一貫して「身体性」「フォルム重視」「普遍性と余白」「境界を超える表現」などのキーワードが息づいています。

流行や装飾に流されない根の強さを備えつつ、ミニマリズムと実験性を併せ持つそのアプローチは、日本独自のものづくり思想と、現代の多様性への応答を架橋するものと言えるでしょう。

これからも、ato(アトウ)はその静かな強度と繊細な線で、新しい時代のファッション表現をリードしていく存在であり続けるはずです。

 

まとめ:ato(アトウ) ブランドリリース

ato(アトウ)のデザインは、「身体性」「フォルム」「永続性」といった思想を根幹に据え、単なる流行や表面的な美しさを超えた、本質的な服作りを体現しています。

立体裁断を駆使した構築的なシルエット、パターンへの徹底したこだわり、そして性別や時代を超越するスタイルは、着る人の個性を引き立てると同時に、長く愛用される普遍性を備えています。

ミニマリズムと実験性を融合させたそのデザインアプローチは、現代のファッションに新たな価値を投げかけており、今後もato(アトウ)は独自の視点で時代と向き合い続ける存在であり続けるでしょう。

PROFILE

IDEALVINCI
IDEALVINCIメンズファッション専門WEBライター
古着屋「GARATOIRO」「BUYER'S GARMENT」を運営する元メンズアパレルデザイナー。

セレクトショップのECサイト運用担当後、WEBマーケティング業界に従事し、事業部長などのキャリアを経験。

起業後は30万人以上のファッションユーザーに利用されるWEBメディア「IDEALVINCI」専属ブロガーとしても活躍。「メンズ古着」「リユースファッション」などの情報も発信。

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