BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)は、ミリタリーウェアの忠実な復刻で知られる日本発のブランドです。
第二次世界大戦期を中心としたアメリカ軍のフライトジャケットやワークウェアを、当時の軍用規格(MIL-SPEC)に基づいて徹底的に再現し、その完成度の高さから世界中のファンに愛されています。
ミシンの運針や素材の織り方、タグのフォントに至るまで細部にこだわった製品づくりは、単なるファッションを超えた“歴史の継承”とも言える存在感を放っています。
この記事では、BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)のブランドの起源や歴史、創業者の背景、デザインの特徴とスタイルについてご紹介します。
目次
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)の起源と歴史
ブランド誕生の背景
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)は、日本の老舗アパレルメーカー「東洋エンタープライズ」によって1993年に誕生したブランドです。
アメリカ空軍や陸軍のフライトジャケット、ユーティリティジャケットなど、1940〜1950年代に実際に使用されていた軍用衣料を忠実に再現することを目的にスタートしました。
素材選びから縫製、ディテールに至るまで、当時の軍用規格(MIL-SPEC)を徹底的に追求したプロダクトづくりが特徴であり、日本国内はもとより海外のミリタリーファンからも高い評価を受けています。
ブランド名の由来とその背景
ブランド名の「BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)」は、1958年に公開されたアメリカ映画『戦う翼(原題:The War Lover)』に登場するキャラクター「Buzz Rickson」に由来しています。
スティーブ・マックイーンが演じたこのキャラクターは、無類の飛行機好きであり、職業軍人として生きる男として描かれています。
ブランドの根底にある「フライトジャケット文化」とリンクするこのキャラクターをブランドネームに採用することで、当時のアメリカ空軍文化へのオマージュが込められています。
復刻への徹底したこだわり
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)が他のブランドと一線を画す理由は、再現性の高さにあります。
素材の繊維からオリジナルで再現するほか、糸の撚り方向や金属パーツの腐食加工、ミルスペックのタグまで、すべてを当時の資料や実物に基づいて設計・生産しています。
特に東洋エンタープライズが社内に構えるアーカイブコレクションを活用し、再現対象となるジャケットの年代・ロット・仕様に至るまで細分化して再現する手法は、専門家からも高く評価されています。
拡張するプロダクトとコレクション
当初はフライトジャケットが中心だったBUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)ですが、現在ではN-1デッキジャケット、Pコート、チノパン、ミリタリーシャツ、ブーツ、アクセサリー類など、米軍の各種装備全般をカバーするコレクションへと進化しています。
さらに2003年には、サイバーパンク作家ウィリアム・ギブソンの小説『Pattern Recognition』に登場する“黒いMA-1”を現実に再現した「WILLIAM GIBSON COLLECTION」も始動。
架空の世界観を実体化することで話題を呼び、ファッションと文学の融合という新たな方向性も提示しました。
グローバルに広がるBUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)
現在では、BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)はヴィンテージミリタリーリプロダクションの最高峰ブランドとして、国内外の多くのファンに支持されています。
特にアメリカやヨーロッパを中心に、オリジナル以上のクオリティと評されるほど高く評価され、ジャパンメイドのクラフツマンシップを世界に証明する存在となっています。
2023年にはブランド30周年を迎え、記念モデルや復刻企画が多数発表され、改めてブランドの存在感が再確認されました。
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)は、単なるミリタリーウェアの復刻ブランドではありません。
ブランド誕生以来30年以上にわたり、歴史と技術への徹底した探究心、そしてアメリカ軍の服飾文化に対する敬意を持ち続け、世界中のミリタリーファンを魅了し続けてきました。
その姿勢は「服を再現する」という域を超え、「歴史を纏う」という体験を提供するブランドとして、これからも多くの人々に支持され続けることでしょう。
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)の創業者について
母体企業・東洋エンタープライズの創業者
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)は、1993年に日本のアパレル企業である東洋エンタープライズによって設立されました。
東洋エンタープライズのルーツは、戦後すぐに創業された「港商(こうしょう)商会」にあります。
港商は、在日米軍向けにスカジャンやアロハシャツなどを製造・販売していた企業であり、後にこれを母体として1965年に設立されたのが東洋エンタープライズです。
この創業に大きく関わった人物のひとりが、小林進氏です。
小林進氏の先見性と基盤作り
小林進氏は、戦後の混乱期に米軍基地を中心に販路を拡大し、アメリカ文化と日本の縫製技術を融合させた製品を多数展開しました。
スカジャンやアロハシャツはもちろん、米兵向けのカスタム品などの受注製造においてもノウハウを確立し、その経験が後の東洋エンタープライズ、そしてBUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)の礎となっています。
小林進氏が築いたPX向け納品体制は、当時の日本のアパレル業界において極めて稀有なものであり、そのネットワークは現在も東洋エンタープライズに引き継がれています。
現在の東洋エンタープライズ社長・小林亨一氏
現在、東洋エンタープライズの代表取締役を務めるのは小林亨一(こばやし りょういち)氏で、小林進氏の後継者です。
小林亨一氏はアロハシャツ研究家としても知られ、ヴィンテージ文化への深い造詣を持つ人物です。
彼のディレクションのもと、BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)は単なる軍服の復刻を超えた「文化再現」の域に達し、ミリタリーファッションに新たな価値を与え続けています。
BUZZ RICKSON'S誕生と創業メンバーの役割
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)の立ち上げには、東洋エンタープライズの長年にわたるPX納入実績と、ヴィンテージ軍用衣料に対する知識が欠かせませんでした。
創業メンバーが培ってきたミルスペックに対する深い理解や、実物資料に基づいた徹底した再現技術があったからこそ、1993年のブランド始動に至ったのです。
ブランド名の由来に映画『戦う翼(原題:The War Lover)』を選んだのも、アメリカ文化への深い敬意と理解が背景にあります。
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)の創業の背景には、戦後日本で米軍との取引を通じて確立されたアパレル製造技術と、それを率いた小林進氏の先見性がありました。
現在もその精神は、二代目である小林亨一氏に受け継がれ、ブランドは世界的な評価を受けるまでに成長しています。
ミリタリーウェアという枠を超え、文化と歴史を纏うブランドとして、BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)は今後も進化を続けていくでしょう。
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)のデザインの特徴とスタイル
MIL‑SPECへの徹底的な忠実性
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)のデザインにおける最大の特徴は、米国軍が定めた軍用規格「MIL‑SPEC」への徹底した忠実さにあります。
使用する生地は、当時と同じように綿糸を旧式の織機で織り上げ、糸の撚り方向や繊維の太さ、染色方法までもオリジナルに可能な限り近づけて製造されています。
タグのフォント、ステンシルの配置、パーツの形状、縫製の方向など細部に至るまで再現されており、そのこだわりがBUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)の代名詞となっています。
実用性とデザインの融合
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)が展開する代表的なフライトジャケットには、MA-1、A-2、B-15、G-1などがあり、それぞれのアイテムに備わる本来の機能美を忠実に踏襲しています。
たとえば、MA-1では、フライト中に使用するためのオキシジェンタブ、シガレットポケット、リバーシブル仕様といったディテールが備えられており、単なるファッションアイテムにとどまらず、軍服としての実用性を今に伝えています。
また、寒冷地向けにはアウターシェルの素材やインナーの中綿構造も当時の仕様を再現し、機能面でも高い性能を持っています。
素材と経年変化へのこだわり
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)のレザージャケットでは、ホースハイドやゴートスキンといった厳選された天然皮革が使用されており、鞣しや染色には手作業を多用しています。
その結果、着用を重ねるごとに味わい深い経年変化が楽しめ、所有者ごとに異なる表情を見せてくれます。
また、コットン製品では硫化染めなどの特殊な染色を行い、色落ちやアタリが美しく出るように設計されているため、古着のような風合いを楽しむことができます。
着用感とシルエットの工夫
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)はヴィンテージのスペックを基にしながらも、現代のライフスタイルに馴染むよう設計されたパターンを採用しています。
従来のフライトジャケットは着丈が短く、身幅が広いものが多いのですが、BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)では現代のシルエットに合うように微調整されており、ジャストなサイズ感でミリタリーの無骨さを洗練されたファッションに昇華しています。
豊富なコラボレーションとシリーズ展開
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)は、WILLIAM GIBSON COLLECTIONをはじめ、BEAMSやPORTERとのコラボレーションなども多数展開しています。
特にウィリアム・ギブソンとの取り組みは、架空の“黒いMA-1”を具現化し、従来のフライトジャケットの枠を超えるスタイルを提案。
都市生活者向けのスタイリッシュなミリタリーファッションとして新たなファン層を獲得しています。
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)は、単なるレプリカブランドではなく、軍服に宿る技術や歴史、文化を現代に再現することに重きを置いています。
その徹底した物づくりと素材選びへのこだわり、着る者のライフスタイルに溶け込む洗練されたシルエット設計により、多くのファッション愛好家やミリタリーファンに支持されています。
まさに「本物」を着る感覚を体験できる唯一無二のブランドと言えるでしょう。
まとめ:BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ) ブランドリリース
BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)は、ヴィンテージミリタリーウェアを現代に蘇らせるブランドとして、日本国内外で確固たる地位を築いてきました。
その背景には、創業者たちの米軍との深い関係性や、東洋エンタープライズが長年培ってきた生産ノウハウがあり、特にMIL‑SPECへの徹底したこだわりは、他の追随を許さない精密さと情熱に支えられています。
デザイン面では、オリジナルに忠実な素材選びや縫製技術を用いながらも、現代的なフィット感や着心地を追求。
さらに、ウィリアム・ギブソンコレクションや各種コラボレーションによって、伝統と革新の両立を実現しています。
単なるレプリカではなく、歴史・文化・クラフトマンシップを内包したBUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)は、まさに「身にまとうヴィンテージ史料」と言える存在です。
今後もその動向から目が離せない、唯一無二のミリタリーブランドと言えるでしょう。
PROFILE

- メンズファッション専門WEBライター
- 古着屋「BUYER'S GARMENT」を運営する元メンズアパレルデザイナー。
セレクトショップのECサイト運用担当後、WEBマーケティング業界に従事し、事業部長などのキャリアを経験。
起業後は「サーフ」「アウトドア」「スポーツ」「ストリート」などのアクティブなメンズファッションやライフスタイル情報を発信するIDEALVINCI専属ブロガーとしても活躍。「メンズ古着」「リユースファッション」などの情報も発信。
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