登山やトレッキングでは、自然の中で過ごす楽しさがある一方、気候の急な変化や山道の険しさといったリスクも伴います。
そのため、安全で快適に山を楽しむためには、服装や装備において「安全性」と「機能性」を重視した選択が重要です。
防水性や通気性、軽量性といった基本的な要素に加え、近年では環境に配慮した素材やデザインも注目されています。
この記事では、トレッキングファッションで押さえておきたい安全性と機能性のポイントを、最新のトレンドやブランドも交えながらご紹介します。
目次
メンズのトレッキングファッションについて
トレッキングファッションの役割とは?
トレッキングは、一般的な街中のファッションとは異なり、自然環境での活動に適した服装が求められます。
特に山間部や標高が高い場所では、気温や天候の変化が急激で、適切な服装は体温調整や安全のために不可欠です。
例えば、吸湿速乾性の高い素材を使用した服は、発汗による体の冷えを防ぐ効果があり、汗を素早く乾かすことで常に快適な着心地を維持できます。
機能性とスタイルの両立が求められる理由
トレッキングファッションでは機能性が第一に求められますが、近年はスタイルも重視されています。
トレッキング専用のウェアやアクセサリーは、快適さと安全性を追求した設計が施されるだけでなく、街中でも着やすいデザイン性が進化しています。
これにより、山だけでなく日常的にもファッションとして楽しめるトレッキングアイテムが注目されています。
トレッキングファッションにおける基本の考え方
トレッキングファッションは「レイヤリング(重ね着)」が基本です。
登山やトレッキングの環境では天候が変わりやすく、寒暖差が大きいことから、状況に応じて脱ぎ着しやすいレイヤリングが快適なトレッキング体験を支えます。
レイヤリングの基本は、汗を逃がすインナー、保温力のあるミッドレイヤー、そして防水性のあるアウターの3層で構成されるため、各レイヤーの素材や特性を考慮した選び方が重要です。
トレッキングファッションの進化とトレンド
日本国内外のアウトドアブランドは、トレッキングファッションのデザインや素材技術を年々進化させており、例えばエコフレンドリー素材やリサイクル素材を使用した製品が増加しています。
また、近年は街でも着られるようなデザイン性の高いアイテムも人気を集め、アウトドアファッションが日常的なファッションの一部として認識されるようになりました。
このように、トレッキングファッションはアウトドアにとどまらず、ファッションシーン全体にも影響を与えています。
トレッキングファッションの基本アイテム
トレッキングを快適かつ安全に楽しむためには、適切な装備選びが重要です。
トップス
吸湿速乾性のあるシャツやジャケット
トレッキング中は発汗が多くなるため、吸湿速乾性に優れた素材のシャツやジャケットを選ぶことが大切です。
これにより、汗による冷えを防ぎ、常に快適な状態を保てます。
例えば、モンベルの「ウイックロン」シリーズは、吸水拡散性に優れた素材を使用しており、汗を素早く吸収・拡散します。
レイヤリングの重要性
山の天候は変わりやすく、気温差も大きいため、レイヤリング(重ね着)による体温調節が不可欠です。
ベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤーの3層構成を基本とし、状況に応じて脱ぎ着することで快適さを維持できます。
ボトムス
動きやすく耐久性のあるパンツの選び方
トレッキングパンツは、ストレッチ性があり動きやすく、耐久性の高い素材を選ぶことが重要です。
モンベルの「ガイドパンツ」は、耐摩耗性とストレッチ性を兼ね備え、快適な歩行をサポートします。
ショートパンツ vs ロングパンツの使い分け
気温や環境に応じて、ショートパンツとロングパンツを使い分けることが推奨されます。
夏場や低山ではショートパンツが適していますが、高山や寒冷地ではロングパンツが保温性と安全性の面で優れています。
インナー
防寒と汗対策を兼ねたインナーの選択肢
インナーは、汗を素早く吸収・拡散し、体温を適切に保つ素材を選ぶことが重要です。
モンベルの「ジオライン」シリーズは、吸湿速乾性と保温性を兼ね備え、快適な着心地を提供します。
シューズ
トレッキングシューズの種類と選び方
トレッキングシューズは、足首のサポート力やソールの剛性、防水透湿性を考慮して選ぶ必要があります。
日帰り登山や山小屋泊ではミドルカット、テント泊や重装備の場合はハイカットのシューズが適しています。
ローカット vs ミッドカット vs ハイカット
ローカットは軽量で動きやすい反面、足首のサポートが少ないため、整備された道向きです。
ミッドカットは足首のサポートと動きやすさのバランスが良く、一般的なトレッキングに適しています。
ハイカットは足首の保護が高く、重装備や険しい道に適しています。
バックパック
容量や機能性の選び方
バックパックの容量は、行程や装備品の量に応じて選びます。
日帰り登山では20~30L、山小屋泊では30~40L、テント泊では50L以上が目安です。
また、背面の通気性やポケットの配置など、機能性も重要なポイントです。
小物収納のポイント
頻繁に使用するアイテムは、取り出しやすい位置に配置することが望ましいです。
例えば、サイドポケットには水筒や行動食、ヒップベルトのポケットには地図やコンパスを収納すると便利です。
シーン別トレッキングファッションのコーディネート例
トレッキングのシーンに応じて、適切なファッションを選ぶことは快適さと安全性を高めるために重要です。
低山・初心者向けトレッキング
初心者や低山でのトレッキングでは、軽量で動きやすい服装が求められます。
- トップス: 吸湿速乾性のあるTシャツやロングスリーブシャツを選びましょう。これにより、汗をかいても快適さを保てます。
- ボトムス: ストレッチ性の高いトレッキングパンツがおすすめです。動きやすさと耐久性を兼ね備えたものを選ぶと良いでしょう。
- シューズ: ローカットのトレッキングシューズや、しっかりとしたスニーカーでも対応可能です。ただし、滑りにくいソールのものを選ぶことが重要です。
- アクセサリー: 日差し対策として帽子を着用し、必要に応じて軽量のウインドブレーカーを持参すると安心です。
中級者向けトレッキング
中級者向けのトレッキングでは、長時間の歩行や変化する天候に対応できる装備が求められます。
- トップス: ベースレイヤーとして吸湿速乾性の高いインナーを着用し、その上に保温性のあるフリースやソフトシェルジャケットを重ねます。
- ボトムス: 耐久性と防風性を兼ね備えたトレッキングパンツを選びましょう。天候に応じてレインパンツを携帯すると安心です。
- シューズ: ミッドカットのトレッキングシューズが適しています。足首のサポートが強化され、安定した歩行が可能です。
- アクセサリー: 防水性のあるレインジャケットやレインパンツを持参し、天候の変化に備えましょう。また、日差し対策としてサングラスや帽子も有効です。
本格的な登山向けファッション
高山や厳しい環境でのトレッキングでは、専門的な装備が必要となります。
- トップス: ベースレイヤーに高機能な吸湿速乾性インナーを選び、ミドルレイヤーとして保温性の高いダウンジャケットやフリースを着用します。アウターには防水・防風性に優れたハードシェルジャケットを重ねます。
- ボトムス: 防水性と耐久性を兼ね備えたトレッキングパンツを選び、必要に応じてインサレーションパンツを重ね着します。
- シューズ: ハイカットの登山靴が適しています。足首の保護と安定性を提供し、重い荷物を背負っての歩行にも対応できます。
- アクセサリー: 防寒用の手袋、ニット帽、ネックゲイターなどを装備し、寒冷な環境に備えます。また、サングラスやゴーグルで雪目を防ぐことも重要です。
各シーンに適した装備を選ぶことで、トレッキングを安全かつ快適に楽しむことができます。
季節別のトレッキングファッション
トレッキングを快適かつ安全に楽しむためには、季節ごとに適切な服装を選ぶことが重要です。
以下に、季節別のトレッキングファッションのポイントを詳しく解説します。
春・秋向けのトレッキングファッション
春や秋は気温の変動が大きく、天候も変わりやすいため、体温調節がしやすい服装が求められます。
- ベースレイヤー: 吸湿速乾性の高いインナーを選び、汗冷えを防ぎます。
- ミドルレイヤー: 薄手のフリースやソフトシェルジャケットを着用し、保温性と通気性を確保します。
- アウター: 防風・防水性のあるウインドブレーカーやレインジャケットを携帯し、急な天候変化に備えます。
- ボトムス: ストレッチ性と耐久性を兼ね備えたトレッキングパンツを選び、動きやすさを確保します。
- アクセサリー: 帽子や手袋を持参し、朝晩の冷え込みに対応します。
夏向けのトレッキングファッション
夏は高温多湿で、紫外線も強いため、通気性と速乾性、そして紫外線対策が重要です。
- ベースレイヤー: 冷感素材やメッシュ素材のインナーを選び、汗を素早く吸収・拡散させます。
- トップス: UVカット機能付きの長袖シャツやパーカーを着用し、日焼けと虫刺されを防ぎます。
- ボトムス: 通気性の良いショートパンツと、十分丈のトレッキング用レギンスやタイツの組み合わせがおすすめです。
- シューズ: 通気性の高いトレッキングシューズを選び、足の蒸れを防ぎます。
- アクセサリー: つばの広い帽子やサングラスで紫外線を遮断し、熱中症対策としてこまめな水分補給を心がけます。
冬向けのトレッキングファッション
冬は低温で風も強いため、保温性と防風性を重視した服装が必要です。
- ベースレイヤー: ウールや化繊素材のインナーを選び、汗を吸収しつつ保温性を確保します。
- ミドルレイヤー: フリースやインナーダウンジャケットを着用し、体温を保持します。
- アウター: 防風・防水性の高いダウンジャケットやハードシェルジャケットを選び、外気から身を守ります。
- ボトムス: 防風性と保温性を兼ね備えたトレッキングパンツを選び、必要に応じてインサレーションパンツを重ね着します。
- シューズ: 防水性と保温性のあるトレッキングシューズを選び、雪や氷から足を守ります。
- アクセサリー: 手袋、ニット帽、ネックゲイターなどで露出部分を保護し、体温の低下を防ぎます。
各季節に適した服装を選ぶことで、トレッキングを安全かつ快適に楽しむことができます。
トレッキングファッションのトレンドとブランド紹介
トレッキングファッションは、機能性とデザイン性の両立が求められ、近年では環境への配慮や日常使いできるスタイルが注目されています。
最新トレンド
サステナビリティの重視
環境保護への関心が高まる中、リサイクル素材や環境負荷の少ない製造プロセスを採用した製品が増えています。
例えば、モンベルはリサイクル素材を使用した製品ラインを展開し、環境への配慮を強化しています。
タウンユース可能なデザイン
アウトドアウェアが日常生活でも着用できるよう、シンプルでスタイリッシュなデザインが増加しています。
これにより、トレッキングから街中まで幅広く活躍するアイテムが人気を集めています。
高機能素材の採用
防水性、透湿性、軽量性など、最新の素材技術を取り入れた製品が登場しています。
これにより、快適性と耐久性が向上し、過酷な環境下でも安心して使用できます。
注目のブランド紹介
モンベル(Montbell)
日本発のアウトドアブランドで、高品質な製品を手頃な価格で提供しています。
最新の2024年秋冬コレクションでは、軽量で保温性に優れた「EXライト サーマラップ パーカ」などが登場しています。
CHECK
mont-bellとは?【ブランドリリース】
アウトドア活動はただの趣味ではなく、私たちの生活の一部であり、自然との繋がりを深める手段です。 この理念を体現しているのが、1975年に設立された日本発のアウトドアブランド「mont-bell(モンベ ...
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ザ・ノース・フェイス(The North Face)
世界的に有名なブランドで、機能性とデザイン性を兼ね備えた製品が特徴です。
最新コレクションでは、防水性と通気性を両立したジャケットや、環境に配慮した素材を使用したアイテムがラインナップされています。
CHECK
THE NORTH FACEとは?【ブランドリリース】
アメリカ・カリフォルニアを拠点に、アウトドアウェアを展開するTHE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)は、世界的に人気のあるブランドです。 アウトドアスポーツを中心とした商品展開や、ファッシ ...
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パタゴニア(Patagonia)
環境保護活動に積極的に取り組むブランドで、リサイクル素材を多用した製品が特徴です。
最新のコレクションでは、機能性とサステナビリティを両立したアイテムが多数揃っています。
CHECK
Patagoniaとは?【ブランドリリース】
アメリカのアウトドアブランドとして知られているPatagonia(パタゴニア)。 機能性に優れたプロダクトに人気があります。 また、環境保護活動にも熱心なことで知られているブランドですが、ここではPa ...
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これらのブランドは、最新のトレンドを取り入れつつ、高品質なトレッキングファッションを提供しています。
自分のスタイルや用途に合わせて選ぶことで、快適で安全なトレッキングを楽しむことができます。
安全性と機能性を高めるためのポイント
トレッキングを安全かつ快適に楽しむためには、装備の安全性と機能性を高めることが重要です。
反射材の活用
早朝や夕方、曇天時など視界が悪い状況では、他の登山者や救助隊からの視認性を高めるために、反射材付きのウェアやアクセサリーを使用することが推奨されます。
特に、ザックやジャケットに反射材が付いている製品を選ぶと効果的です。
防水加工の重要性
山の天候は変わりやすく、突然の雨に見舞われることがあります。
防水性の高いジャケットやパンツを着用することで、体温低下や衣類の濡れによる不快感を防ぐことができます。
また、シューズも防水性のあるものを選ぶことで、足元の濡れを防ぎ、滑りやすい路面での安全性を高めます。
軽量化と快適性のバランス
装備の軽量化は、体力の消耗を抑え、長時間の歩行を快適にします。
しかし、軽量化を追求しすぎると、必要な機能や安全性が損なわれる可能性があります。
例えば、軽量なシューズは足への負担を軽減しますが、サポート力が不足する場合があります。
そのため、装備選びでは軽量性と機能性のバランスを考慮し、自分の体力やトレッキングの難易度に合わせた選択が重要です。
これらのポイントを踏まえて装備を選ぶことで、トレッキング中の安全性と快適性を高めることができます。
まとめ:機能性とスタイルを兼ね備えたメンズトレッキングファッション
トレッキングファッションは、機能性とスタイルを兼ね備えた重要な要素です。
適切な装備を選ぶことで、安全性と快適性が向上し、自然の中での時間をより充実させることができます。
本記事では、基本アイテムの選び方から、シーン別・季節別のコーディネート、最新のトレンドや注目のブランド、安全性を高めるポイントまで幅広くご紹介しました。
これらの情報を参考に、自分のスタイルやトレッキングの目的に合ったファッションを見つけてみてください。
機能性とデザイン性を両立させた装備で、快適で安全なトレッキングを楽しみましょう。
PROFILE
- 古着屋「BUYER'S GARMENT」を運営する元メンズアパレルデザイナー。
セレクトショップのECサイト運用担当後、WEBマーケティング業界に従事し、事業部長などのキャリアを経験。
起業後は「サーフ」「アウトドア」「スポーツ」「ストリート」などのアクティブなメンズファッションやライフスタイル情報を発信するIDEALVINCI専属ブロガーとしても活躍。「メンズ古着」「リユースファッション」などの情報も発信。
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