
KAPITAL(キャピタル)は、日本の伝統技法やワークウェア文化、さらにはアメリカンヴィンテージの美学を融合させた独自の世界観を持つブランドとして高い評価を集めています。
パッチワークや刺し子、BOROといった手仕事を現代的に再解釈しながら、遊び心あふれるデザインや大胆なモチーフを取り入れ、唯一無二のスタイルを構築している点が魅力です。
こうした背景には、職人技術への強いこだわりや、多文化を柔軟に取り入れる姿勢があり、KAPITAL(キャピタル)の服には“物語”と“深み”が宿っています。
この記事では、KAPITAL(キャピタル)の起源や歴史、創業者の背景、デザインの特徴とスタイルについてご紹介します。
目次
ブランド設立の背景と創業期
KAPITAL(キャピタル)は、岡山県倉敷市児島に縫製工場として始まりました。
もともとは「Capital」という名で1984年に設立され、日本国内外の有名ブランドのOEM生産を手がけていました。
当時、日本のジーンズ市場はアメリカンヴィンテージの模倣が主流でしたが、KAPITAL(キャピタル)は日本国内の縫製技術を活かしながら、丁寧なモノづくりにこだわっていました。
ジーンズ専用のミシンを導入し、厚手デニムへのステッチや生地染色、縫製方法などあらゆる面で品質と技術を追求していました。
そうした背景のなかで、「自分たちが本当に作りたい服」を形にするため、新たな挑戦としてブランド展開へと舵を切ることになります。
ブランド「KAPITAL(キャピタル)」の始動
自社ブランド「KAPITAL(キャピタル)」のスタートは1995年です。
縫製工場としての経験をもとに、児島に直営店を構え、自らのブランドを世に送り出しました。
ブランド名を「Capital」から「KAPITAL」に変えたのは、既存の運送会社などとの混同を避けるためという理由でした。
こうした配慮のうえで、日本のデニム文化への敬意と、独自の世界観を持ったブランドが誕生しました。
当初はジーンズ中心の展開でしたが、その後ワークウェアやヴィンテージウェア、民族衣装の要素、リメイク、再構築デザインなどにも着手。
天然素材を使ったシャツやジャケット、刺繍・パッチワークなど。デニムにとどまらない服づくりが始まりました。
デザイン思想とものづくりの哲学
KAPITAL(キャピタル)は、ただ服を作るだけではなく、日本の伝統/文化と、アメリカンヴィンテージの精神を掛け合わせるという明確な哲学を持っています。
児島というデニムの聖地で培った技術力をベースに、「和洋折衷」「EAST MEETS WEST」といった思想を体現する服づくりを続けています。
その結果として、単なる“服”以上の、まるでアート作品のような存在感を持つアイテムが数多く生まれています。
デニムの色落ちや生地の風合い、手作業による染色や刺繍、パッチワークなど、一点一点に“時間と手間”が刻まれていることが特徴です。
また、リメイクや再構築といった手法を通じて、既存の洋服や布地に新たな命を吹き込む。過去と現在をつなぎ、未来につながる服を生み出すこと。
それもまた、KAPITALの根底にある思想です。
ブランドの展開と成長
1995年の設立以降、KAPITAL(キャピタル)は店舗を拡大し続けました。
2003年には東京支店を開設し、その後全国に直営店や取扱店を広げています。
さらに2010年には、自社で洗いや加工を行う工場「KOUNTRY(カントリー)」をスタートさせ、自らのものづくり体制をさらに強化しました。
これにより、デザインから縫製、染色、仕上げまでを自社で完結する“一貫生産体制”が整いました。
これらの取り組みによって、KAPITALは日本国内だけでなく海外のファッションシーンからも注目を集めるようになります。
特に、デニムやヴィンテージテイストのワークウェア、独特なパッチワークや刺繍といったアイテムが、国内外のファッショニスタの間で cult 的な支持を得るようになります。
近年とこれから
KAPITAL(キャピタル)は、創業から数十年を経て、ただのデニムブランドに留まらず、日本が世界に誇るクリエイティブファッションブランドへと成長しました。
その核にあるのは「伝統への敬意」「確かな技術」「文化の融合」「一点一点へのこだわり」です。
今後も、過去の服や布、文化を再解釈し、新たな形へと再構築する。
そんな “革新と継承の両立” を体現する存在として、KAPITALの歩みは続いていくと感じます。
KAPITAL(キャピタル)の創業者について
KAPITAL(キャピタル)の創業者は平田 俊清氏です。
平田氏は1980年代、日本のジーンズ産地として名高い岡山県倉敷市児島に拠点を構え、当初は縫製工場として「Capital」という名称で活動を始めました。
日本国内外のブランドのOEM(相手ブランド向け製品製造)を手がける中で、彼は自らが理想とするデニム作りとものづくりの姿勢を模索していました。
平田氏が縫製技術やデニム作りに取り組んだ背景には、1980年代にアメリカで過ごした経験があります。
彼はアメリカでヴィンテージデニムに触れ、その魅力とクオリティの高さに感銘を受けました。
帰国後、児島で培われた日本の縫製・デニム製造技術とその感覚を融合させ、「ただの模倣ではなく、日本ならではのデニムをつくる」という強い決意のもと工場運営を始めたのです。
1985年に「KAPITAL(キャピタル)」というブランド名で正式にスタートし、以降は単なるジーンズ工場ではなく、自社ブランドとしてのものづくりに取り組むようになりました。
設立当初はジーンズ中心の展開でしたが、やがてワークウェアや民族テイスト、リメイク/パッチワークなど幅広い服づくりに挑戦し、「デニムを軸にしながらも枠にとらわれない服」を提案するブランドへと進化しました。
創業者のビジョンと思考
平田氏が掲げたビジョンには、「日本の縫製技術とアメリカンヴィンテージの美学を融合させる」という明確な方向性がありました。
アメリカのデニム文化に憧れを持ちながらも、日本の繊細で堅牢なものづくり文化を活かす。この両立こそが、KAPITAL(キャピタル)というブランドの根幹となりました。
また彼は「服は単に着るための道具ではなく、文化や思想を表現するキャンバスである」という信念を持っていました。
この信念のもと、単なる量産品ではなく、一点一点に手間と時間をかけた服づくりを貫き、ヴィンテージライクでありながら現代のファッション感覚にも応えるスタイルを創出しました。
こうした精神性が、KAPITAL(キャピタル)のアイテンティティを支える柱となりました。
創業者の意思の継承と現在
現在、株式会社キャピタルの代表取締役社長は平田 和宏氏(平田俊清の息子)ですが、ブランドの設立理念、ものづくりへの姿勢、文化と技術の融合といった創業者の意思は、現在も大切に受け継がれています。
KAPITAL(キャピタル)は今も岡山・児島の地で、デニムを軸にしながら多様な服づくりを展開しています。
そしてその背景には、創業者平田俊清氏が築いた「妥協しないものづくり」「文化と技術の融合」「服に込める思想」があることを、多くのファンが知っています。
創業者という土台があってこそ、KAPITAL(キャピタル)の独特な世界観とクオリティは成り立っているのだと感じます。
デザインの特徴と代表スタイル
KAPITAL(キャピタル)のアイテムには、次のような具体的なデザインの特徴とスタイルが見られます。
一つはパッチワーク、BORO、刺し子、リメイクといった伝統技法の応用です。
たとえば、デニムジャケットやコートでは、裂いた布地をパッチ状に張り合わせたり、あえて穴や破れを再現したダメージ加工を施し、それを刺し子で補強・装飾することで、ヴィンテージの風格と手仕事の温もりを両立させています。
こうした手間のかかる技法は、既製品には真似できない、“一点もの”的な存在感を与えています。
また、シルエットやアイテム構成にも独自性があります。
KAPITAL(キャピタル)はジーンズだけでなく、ジャケット、コート、ワークウェア、民族衣装調のトップス、小物、アクセサリーなど幅広く手がけています。
天然素材を使ったシャツやジャケット、コットンやリネン、シルクなどを用いたアイテムもあり、多様な素材感とスタイルを楽しむことができます。
さらに、ユニセックスのサイズ展開であるため、性別や体型にとらわれず、自由なコーディネートが可能です。
そして、“KAPITALらしさ”を象徴するデザインとして、「ボーン柄」「バンダナ柄」「ユニークなプリント・刺繍」「遊び心あるディテール」が挙げられます。
こうした柄やモチーフは、あえて目立たせることでストリート感やアート的な雰囲気を演出し、デニムやワークウェアの無骨さと、民族的/ヴィンテージ的な要素をミックスした、新しいスタイルの服として成立させています。
デザインの根幹にある思想
KAPITAL(キャピタル)のデザインが持つもっとも大きな特徴は、「日本の伝統・文化」と「アメリカンヴィンテージ、ワークウェア、ミリタリーなど異なる文化の融合」によって独自の世界観を構築している点です。
岡山県児島という“デニムの聖地”で培われた縫製と染色の技術をベースに、古き良きアメリカのワーク・ヴィンテージスタイルの要素、デニム、バンダナ、生地の粗さ、パッチワーク、刺し子、BORO、リメイクなどを大胆に取り入れています。
こうした多文化的かつ職人的なアプローチによって、KAPITALの服は単なる洋服を超え、“物語”や“文化の継承”を身につける手段となっています。
この融合されたデザイン思想は、単なる“モノづくり”としてだけでなく、“カルチャーや時間の流れを着る”というコンセプトを表現する手段でもあります。
古き時代の美しい手仕事や風合いを、現代のライフスタイルに合わせつつ再構築する。
それがKAPITALの志であり、デザインの根幹です。
ブランド全体としてのスタイルと世界観
KAPITAL(キャピタル)は、単純に流行を追うファッションブランドではありません。
流行の移り変わりに左右されず、あえて“古いもの・昔のもの”からインスピレーションを受け、それを現代に合うよう再解釈することで、普遍的かつ唯一無二のスタイルを提案しています。
例えば、昔ながらのファクトリーワークや職人の手仕事、和のエッセンス、アンティーク感。
そうしたものを尊重しつつ、現代のライフスタイルに溶け込むデザインに仕立てているのです。
また、KAPITAL(キャピタル)の服は“着る人の個性を際立たせる”役割を持っています。
あえて目を引くデザインや柄、ゆったりとしたサイズ感、独特の色落ちや風合い。
そうした特徴が、着る人それぞれのライフスタイルや感性を映し出すキャンバスとなります。
そのため、誰にでも合う“平均的な服”ではなく、選ぶ人によって印象が大きく変わる、まさに“人を選ぶブランド”とも言えます。
なぜ多くの人を惹きつけるのか
KAPITAL(キャピタル)のデザインとスタイルが多くのファンを惹きつける理由は、まず服そのものが非常に高いクオリティと手仕事に支えられている点にあります。
職人による縫製、素材選び、洗いや加工に至るまで、自社で一貫して管理されているため、独特な風合いや耐久性、着込むほどに変化する経年変化といった“育てる服”としての魅力があります。
また、伝統と革新、多文化の融合、そして遊び心。
これら複数の要素が絶妙にバランスされたデザインは、他ブランドには真似できない唯一無二の世界観を作り上げています。
そのため、洋服選びに“意味”や“物語性”、“背景”を求める人に対して強く刺さるのです。
さらに、性別や年齢、国籍を問わず着用できるユニセックス展開と、幅広いアイテムラインナップによって、さまざまなライフスタイルやスタイル志向の人に対応できる柔軟性も、KAPITAL(キャピタル)の大きな強みです。
時代と文化を紡ぐ服
KAPITAL(キャピタル)のデザインは単なるファッションではなく、過去と現在、そして異なる文化をつなぐ表現です。
日本の伝統技法、アメリカンヴィンテージ、民族衣装、ワークウェアなど、多様な要素が混ざり合うことで、ひとつの服が「時間」と「思い」を宿すアートピースへと昇華します。
流行に左右されず、着る人自身の個性や価値観を映し出す服。
そんな存在として、KAPITAL(キャピタル)はこれからも唯一無二のスタイルを提案し続けるブランドであると感じます。
まとめ:KAPITAL(キャピタル) ブランドリリース
KAPITAL(キャピタル)のデザインは、日本の伝統技法とアメリカンヴィンテージ、さらには民族的要素やワークウェアの文化を巧みに融合させることで、唯一無二の世界観を築いています。
パッチワークや刺し子、BOROといった手仕事の温もりを残しつつ、現代的なエッセンスを加えることで、服そのものが“物語”を語る存在へと昇華している点が大きな魅力です。
また、一貫したものづくり体制による高い品質や、ユニセックスで自由度の高い着こなしが可能な点も、幅広い層のファンに支持される理由です。K
APITAL(キャピタル)は、これからも文化や技術を紡ぎながら革新を続け、時代を越えて愛されるデザインを提案し続けるブランドであると感じます。
PROFILE
- メンズファッション専門WEBライター
- 古着屋「GARATOIRO」「BUYER'S GARMENT」を運営する元メンズアパレルデザイナー。
セレクトショップのECサイト運用担当後、WEBマーケティング業界に従事し、事業部長などのキャリアを経験。
起業後は30万人以上のファッションユーザーに利用されるWEBメディア「IDEALVINCI」専属ブロガーとしても活躍。「メンズ古着」「リユースファッション」などの情報も発信。
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