
Ground Y(グラウンド ワイ)は、ヨウジヤマモト社の思想を受け継ぎながら、ジェンダーや年齢といった既存の枠組みを超えて自由な表現を追求するブランドとして、2014年に誕生しました。
シンプルながら奥深いシルエット、身体の動きと調和する構造、そして異素材やカルチャーとの融合によって生まれる独自のスタイルは、多くのファッションファンから注目を集めています。
この記事では、Ground Y(グラウンド ワイ)のブランドの起源や歴史、創業者・デザイナーの背景、デザインの特徴とスタイルについてご紹介します。
目次
Ground Y(グラウンド ワイ)の起源と歴史
ブランド誕生の背景と設立時期
Ground Y(グラウンド ワイ)は、株式会社ヨウジヤマモトのブランドラインのひとつとして、2014年9月にスタートしました。
このブランドは、ヨウジヤマモト本体やY’s(ワイズ)とは異なる切り口で、若年層へ向けたジェンダーレス/エイジレスなスタイルを提案するためのプラットフォームとして生まれました。
設立当初から、Ground Y(グラウンド ワイ)はヨウジヤマモト社の内部フィルターを通した“新しい可能性”の表現を目指しており、「性別や年齢にとらわれない表現」「多面的な要素を取り入れること」といったコンセプトが掲げられています。
また、価格帯や流通形態も、従来のヨウジヤマモト系列ラインとは異なり、若い層・新規層への訴求を意識した設計となっていました。
ブランドのコンセプトと思想
Ground Y(グラウンド ワイ)の根幹にあるのは、「ジェンダーレス(性別を超える)」「エイジレス(年齢を超える)」という価値観です。
これにより、誰もが自由にファッションを楽しめる場として、ブランドが形成されています。
多面的な要素、異なる文化や価値観を積極的に取り入れ、現代的な多様性を体現するブランドとして成長しています。
ヨウジヤマモト社もGround Y(グラウンド ワイ)を「ファッションの新たな可能性を提案するブランド」と公式に位置づけており、自由度の高い表現を担う実験的ラインとも言えます。
コラボレーションと展開の歩み
Ground Y(グラウンド ワイ)は、設立以降、アート、音楽、アニメなどの分野と積極的にコラボレーションを展開してきました。
たとえば、イギリスの老舗ブランドFRED PERRY(フレッドペリー)との“REBOOT”プロジェクトでは、伝統と前衛を融合させる試みがなされました。
また、近年は『鬼滅の刃』などの人気アニメとのコラボレーションにも力を入れており、日本製の高品質素材を用いたファッションアイテムで注目を集めています。
2025年には「Beyond Borders(ビヨンド・ボーダーズ)」という新プロジェクトを発足し、国内外の生産拠点を活用しながらも、高品質・高表現力を維持する試みを実施。
その中では、ベトナム生産の証として地図モチーフのネームタグを施すなど、地理的背景をもファッションの文脈に落とし込んでいます。
系列ブランドとの関係性と差異
Ground Y(グラウンド ワイ)は、ヨウジヤマモト本体やY’sといったブランドと比較して、より自由で柔軟な表現を特徴とする実験的なポジションにあります。
確立されたブランド美学を持つY’sやYohji Yamamotoに対して、Ground Y(グラウンド ワイ)は、新しい層との接点や未知の表現を開拓する役割を担っています。
現在までの位置づけと展望
Ground Y(グラウンド ワイ)は、ジェンダーレスかつエイジレスという普遍的な価値観を軸にしながらも、アニメやカルチャー、伝統と革新の融合といった文脈で独自の表現を深めています。
特に、2025年の「Beyond Borders」プロジェクトは、ブランドの新たな挑戦として業界内外で注目されています。
これからも、Ground Y(グラウンド ワイ)は新しい表現方法やコラボレーションによって、時代の多様性や価値観の変化を敏感に取り込みながら、その存在感をさらに高めていくと考えられます。
Ground Y(グラウンド ワイ)デザイナー:山本耀司について
山本耀司について
山本耀司(やまもと ようじ)は、日本を代表する世界的ファッションデザイナーの一人であり、「アンチ・モード」「黒の美学」といった独自の哲学で知られています。
1943年東京都生まれ。
文化服装学院を卒業後、1972年にレディースブランド「Y’s(ワイズ)」を設立し、1981年には自身の名を冠したブランド「YOHJI YAMAMOTO(ヨウジヤマモト)」でパリ・プレタポルテ・コレクションに初参加。
以降、世界的に高く評価され、パリを拠点に活動を続けています。
デザイン思想と美学
山本耀司のデザインにおいて最も象徴的なのは、「黒」という色の使い方です。
彼にとって黒は単なる暗色ではなく、「相手の内面を想像させる色」であり、陰影や空間の奥行きを感じさせる哲学的な色とされています。
また、「既存の美しさや流行への反発」として、左右非対称・未完成的な要素・緩やかなシルエットなどを意図的に採用してきました。
さらに彼は、流行に迎合しない独自のスタンスを貫くことで、常に“ファッションの反逆者”として語られてきました。
デザインだけでなく、ショー演出・モデル起用・コレクションの構成すべてにおいて、自己表現と問いかけを融合させるのが特徴です。
ヨウジヤマモト社とブランド群の展開
山本耀司は、Y’s や YOHJI YAMAMOTO 本体に加えて、複数のブランドラインを展開しています。
例えば、Y-3(アディダスとの協業)、Ground Y(ジェンダーレス・エイジレスな若年層向けライン)、discord Yohji Yamamoto(バッグ・アクセサリーライン)など、用途やテーマ別に多様なアプローチを展開しています。
特にGround Y(グラウンド ワイ)は、山本耀司の思想を若年層や新たな層に届けるための“実験的プラットフォーム”とも言える存在であり、彼の世界観をより自由に・柔軟に表現する場となっています。
現代における影響力と位置づけ
山本耀司は、ファッション業界の枠を超えて、アートや音楽、映画といったジャンルにも深く関わってきました。
坂本龍一との親交、北野武映画の衣装提供、パリのオペラ衣装のデザインなど、多方面でその美意識が評価されています。
近年では、後進のデザイナーやファッション学生に対しても大きな影響を与えており、彼の思想や表現は多くのブランドやアーティストに引用・参照されています。
今なお現役でコレクションを発表し続けるその姿勢は、ファッションにおける“反骨の精神”と“哲学性”を象徴する存在として、世界的に確立された地位を築いています。
Ground Y(グラウンド ワイ)のデザインの特徴とスタイル
デザインの根幹:ジェンダーレスとエイジレスの融合
Ground Y(グラウンド ワイ)は、「ジェンダーレス」「エイジレス」というキーワードを基軸に、着る人の性別や年齢を問わない自由な表現を追求しているブランドです。
ブランドの公式サイトでは、「新しい世界観を提案する」と明言されており、その思想はシルエットや素材選び、ディテールの作り方に表れています。
2025年秋冬コレクションでは「余白のあるデザイン」がテーマとなり、ファスナーやベルトによってシルエットを変化させられる仕様や、プリーツを着脱できる設計が取り入れられています。
これにより、ひとつの服が複数のスタイルに対応できる柔軟性を持ち、着る人の個性や着こなしによって表情を変える構造が特徴となっています。
シルエットとカッティングの特徴
Ground Y(グラウンド ワイ)のシルエットは、シンプルなベースを持ちながらも、独自のカッティングやドレープ、アシンメトリーな構造によって個性を際立たせています。
バルーンパンツや袴(はかま)風のワイドパンツ、左右非対称なジャケットなど、身体の動きや重力によって生まれる「揺れ」や「ゆとり」をデザインとして活かすのが特徴です。
このような構築は、ただの変形ではなく、着る人の身体に自然に馴染むよう計算された立体裁断で成り立っています。
視覚的な違和感やずれを意図的に演出することで、見る者にインパクトを与えながらも、実際の着用時には快適さと動きやすさが共存しています。
素材・加工・テクスチャの選び方
Ground Y(グラウンド ワイ)では、素材選びにも強いこだわりが見られます。
例えば、コットンブロード、ツイル、ジャージなど、異なる風合いの素材を使い分けることで、服の見た目だけでなく着心地や動きの美しさを意識した設計がなされています。
2025年にスタートしたプロジェクト「Ground Y Beyond Borders」では、素材だけでなく、生産背景や地域性をデザインの一部として取り入れ、タグに生産国の地図を象ったモチーフをあしらうなど、視覚的にも情報的にも豊かなデザインが展開されました。
こうした試みは、ファッションを通じて文化や背景を語るブランドの姿勢を物語っています。
カラーと配色の美学
Ground Y(グラウンド ワイ)では、カラーリングにおいても黒を中心としたモノトーンが基本ですが、それは単なる「地味さ」や「無彩色」ではありません。
異なる素材感やレイヤードによって黒の中にも豊かな表情を持たせ、「重たく見せない黒」として構成されているのが特徴です。
また、コレクションやコラボレーションによっては、赤や青といった差し色や、プリントによる色彩の導入があり、視覚的なアクセントとして機能しています。
特にアニメやアートとのコラボでは、キャラクターの象徴色をうまく取り入れつつ、ブランドらしい世界観を損なわないように調整された配色設計がなされています。
コラボレーションにおけるデザインの調和
Ground Y(グラウンド ワイ)は、アニメやカルチャーコンテンツとのコラボレーションでも高く評価されています。
その際も単なるプリントTシャツではなく、Ground Y(グラウンド ワイ)らしいオーバーシルエットやアシンメトリーなパターン設計、上質な生地選びが踏襲されています。
たとえば、鬼滅の刃コラボではキャラクターの象徴的な色柄を取り入れつつも、前後差のあるカットやリバーシブル仕様、伝統的な織物を用いたジャケットなど、細部にまでこだわった設計が特徴です。
これにより、キャラクターの魅力とブランドの美学が見事に融合されたプロダクトが生み出されています。
現代的柔軟性を備えた構築的デザイン
Ground Y(グラウンド ワイ)のデザインは、ヨウジヤマモトの思想を受け継ぎながらも、より現代的かつ柔軟な発想を持ち合わせています。
性別や年齢にとらわれず、動きや個性に寄り添うシルエット、素材の変化で魅せるテクスチャの表現、そして文化的文脈を取り込むコラボレーションなど、多様性と創造性を併せ持つデザインがブランドの魅力です。
今後も、Ground Y(グラウンド ワイ)は固定観念に縛られない自由なファッション表現を通じて、ファッションの可能性を広げていくことでしょう。
まとめ:Ground Y(グラウンド ワイ) ブランドリリース
Ground Y(グラウンド ワイ)は、ジェンダーレスかつエイジレスな価値観を軸に、ヨウジヤマモトの哲学をより開かれた形で体現するブランドとして進化を続けています。
自由なシルエット設計や素材の選定、黒を基調とした美学に加え、カルチャーやアートとの柔軟な融合によって、唯一無二の存在感を放っています。
シンプルでありながらも緻密に構築されたそのデザインは、着る人それぞれの個性や身体の動きと共鳴し、日常の中に新しい価値観をもたらします。
今後もGround Y(グラウンド ワイ)は、既存のファッション観を超えた革新と調和のデザインで、国内外のファッションシーンに新たな風を吹き込んでいくことでしょう。
PROFILE
- メンズファッション専門WEBライター
- 古着屋「GARATOIRO」「BUYER'S GARMENT」を運営する元メンズアパレルデザイナー。
セレクトショップのECサイト運用担当後、WEBマーケティング業界に従事し、事業部長などのキャリアを経験。
起業後は30万人以上のファッションユーザーに利用されるWEBメディア「IDEALVINCI」専属ブロガーとしても活躍。「メンズ古着」「リユースファッション」などの情報も発信。
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