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Name.の歴史と特徴【ブランドリリース】

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Name.の歴史と特徴【ブランドリリース】

Name.

Name.(ネーム)は、スタンダードな衣服の構造を解体し、そこに意図的な“ズレ”や“再構築”を加えることで独自のスタイルを築いてきた日本発のファッションブランドです。

ベーシックとモダン、モードとストリートといった対立する要素のあいだに揺らぎを持たせながら、日常の中に潜む美意識をデザインとして表現してきました。

リアルクローズとしての機能性と、見る人の感性を刺激する構造的な工夫の融合は、ファッション好きから高い評価を集めています。

この記事では、そんなName.(ネーム)のブランドの起源や歴史、創業者・デザイナーの背景、デザインの特徴とスタイルについてご紹介します。

 

Name.(ネーム) ブランドの起源と歴史

ブランド設立の背景と立ち上げ

Name.(ネーム)は、2010年に海瀬亮(かいせ あきら)が設立した日本のファッションブランドです。

ブランドとしての活動は、2011年春夏コレクションからスタートしました。

この立ち上げに際して掲げられたコンセプトは「複製技術時代の芸術作品(THE WORK of Art in the Age of Mechanical Reproduction)」であり、日常にある普遍的な要素をファッションとして再構築するという哲学がブランドの根幹に据えられています。

 

初期のクリエイティブには清水則之(しみず のりゆき)が関わっており、彼は文化服装学院を卒業後、コムデギャルソン ジュンヤワタナベ マン(Comme des Garcons JUNYA WATANABE MAN)などでパタンナーとして経験を積んだ人物です。

構築的なパターン技術と繊細な再構成デザインを融合させた彼のアプローチが、Name.(ネーム)のスタイル形成に大きな影響を与えました。

解体と再構築というプロセスを通じて新しい服の価値を提示する姿勢が、今もブランドのDNAとして受け継がれています。

 

概念とコンセプトの展開

Name.(ネーム)が掲げる「複製技術時代の芸術作品」というテーマは、工業化と大量生産が進む現代社会の中で、服が単なる消費物ではなく芸術的存在になり得るかを問い直す試みです。

デザインでは、定型化されたシルエットや構造を“解体”し、“再構築”して見せる手法を多用しています。

パターンのずれ、縫製の非対称性、素材のコントラストといった要素を通して、見る者に新しい美意識を提示しています。

 

さらに、Name.(ネーム)は「感性の共有」という価値観を大切にしています。

時代の空気感、人々の情緒や文化的背景を衣服として翻訳し、着る人とブランドの間に共鳴を生み出すことを目指しています。

この哲学が、他ブランドにはない知的で感覚的な世界観を作り上げています。

 

ディレクター・デザイナーの変遷と組織の動き

Name.(ネーム)は設立当初、海瀬亮が中心人物としてブランドを主導し、清水則之がデザイン面で支えました。

その後、メンズとウィメンズ両方のラインを展開する中で、体制は時代に合わせて変化を続けています。

 

2018年には、パタンナー出身の山田拓治(やまだ たくじ)がデザイナーに就任し、ディレクターには松坂生麻(まつざか せいま)が起用されました。

この時期は、Name.(ネーム)がモード的な構築性と実用性を両立させた洗練期として評価されています。

しかし、2021年春夏コレクションをもって山田が退任し、彼はその後「NVRFRGT(ネヴァーフォーゲット)」という自身のブランドを立ち上げました。

 

2023-24年秋冬コレクションからは山下佑馬(やました ゆうま)が新ディレクターに就任し、ブランドは新体制のもとで再始動しています。

このようにName.(ネーム)は常にクリエイティブの再構築を繰り返しながら進化を続けるブランドといえます。

 

旗艦店のオープンと国内展開

2012年、Name.(ネーム)はブランド初の旗艦店「FURTHER(ファーザー)」をオープンしました。

ここではブランドの世界観を直接体感できる空間が設けられ、コンセプトをより深く伝える拠点として機能しています。

その後、全国のセレクトショップでも取扱いが拡大し、「STUDIOUS(ステュディオス)」などを中心に展開が進みました。

 

また、ジーンズファクトリーとの別注アイテムも人気で、2025年には限定カラーのTシャツがリリースされるなど、コラボレーション企画にも積極的です。

 

国際展開とコレクション発表

国内で確固たる地位を築いた後、Name.(ネーム)は2016年秋冬コレクションでパリ・ファッションウィークに進出しました。

これにより、ブランドの国際的評価が高まり、国外バイヤーやファッションメディアからも注目を集めます。

 

コレクションは毎シーズン継続的に発表されており、2025年現在も新作コレクションが発表されています。

また、ディズニーやアロハシャツブランド「Aloha Blossom(アロハブロッサム)」などとのコラボレーションも実施され、ジャンルの枠を超えた展開が特徴的です。

 

ブランドの特色と意義

Name.(ネーム)の最大の特徴は、既存の定義を解体し再構築する“構造的デザイン”にあります。

シンプルながらもどこかに違和感やズレを感じさせる構成は、モードとストリートの中間的な立ち位置を象徴しています。

服そのものを再編集するアプローチは、現代社会におけるファッションの意味を問い直す試みでもあります。

 

また、デザイナー交代やディレクションの変化を通じてブランドの根本的理念を維持し続けている点も特筆すべきです。

体制変化を「リセット」ではなく「再構築」として活かしてきたことが、Name.(ネーム)を独自の存在へと導いています。

 

今後の展望と課題

設立から10年以上を経て、Name.(ネーム)は日本のモードシーンにおいて確固たる地位を築きつつあります。

今後の課題は、ブランドの哲学を保ちながらグローバル展開をどのように深化させていくかにあります。

 

一方で、コンセプチュアルな要素と日常的な着やすさのバランスを保つことも重要です。

強い世界観を持ちながら、現代の消費者がリアルクローズとして楽しめる提案を行うことで、Name.(ネーム)はさらに成熟したブランドへと進化していくと考えられます。

 

Name.(ネーム)創業者 海瀬亮について

幼少〜若年期からのキャリア変遷

海瀬亮(かいせ あきら)は、静岡県沼津市出身のクリエイターであり、ファッションブランドName.(ネーム)の創業者です。

大学卒業後は印刷会社に勤務し、校正刷りの仕事に従事していましたが、ある時『relax』誌面に友人が登場したことをきっかけに「自分は刷る側ではなく、刷られる側になりたい」と一念発起し退職を決意。

以降、OEM企業で裏原宿系ブランドの生産管理などを経験し、服作りの裏方として技術と人脈を積み重ねていきました。

 

こうしたキャリアの積み重ねにより、海瀬は業界全体を俯瞰する視点を持つようになり、作り手・売り手・着る人の間を繋ぐ“媒介者”的立場を自然と担うようになります。

裏原ブランドの台頭と衰退を間近で見てきたことも、彼の価値観や姿勢に深く影響を与えました。

 

Name.(ネーム)設立とブランディングの起点

2010年、海瀬亮はデザイナー・清水則之と共にファッションブランドName.(ネーム)を立ち上げました。

ブランドとしてのスタートは2011年春夏コレクションからで、その始動時には「複製技術時代の芸術作品」をコンセプトに、服の再構築とズレに美しさを見出すデザインアプローチを打ち出しました。

 

印刷会社時代の縁で、創業時に3000部のルックブックを無償で刷ってもらうというエピソードも残っており、彼の人間関係や信頼の積み重ねがブランドの起点を支えたことがわかります。

これらの経験は、Name.(ネーム)の“衣服を通じた感性の共有”というブランド理念にも反映されています。

 

I AM創業からurself、NICATAへ

Name.(ネーム)の運営母体として、2008年に海瀬は株式会社I AMを設立しましたが、2018年に同社およびブランドを譲渡しています。

その後は、自らが前面に立つファッションプロジェクトurself(ユアセルフ)や、地域資源を活かした鰹節ブランドNICATA(ニカタ)を展開。

 

特にNICATAでは、地元沼津の老舗水産会社とタッグを組み、キャンプ向けの出汁パックや出汁醤油などをデザイン性高くプロデュース。

味だけでなく“見た目”も含めてライフスタイル提案を行う取り組みは、従来の鰹節業界にはない斬新な切り口として注目を集めています。

 

地域と教育、社会との接続を重視する姿勢

海瀬亮は、商業的成功だけを目指すのではなく、地域との関係性や次世代とのつながりを非常に重視しています。

たとえば地元高校から文化祭や授業の依頼を受け、学生たちとプロジェクトを組んだり、地方からの発信で可能性を広げる活動にも積極的です。

 

彼のこうした姿勢は「地元と都市」「クラシックとモダン」「商業と非商業」といった二項対立を越境する柔軟な思考から生まれており、モノづくりやブランド運営に限らない“場づくり”の視点へとつながっています。

 

多面的な創造者としての展望

海瀬亮は、Name.(ネーム)の創業者という肩書を超えて、「裏方から表現を構築する」スタイルの実践者といえます。

彼は一貫して“媒介者”としての役割を重視し、表現の最前線に立つデザイナーやクリエイターの活動を支えながら、自身の価値観をプロダクトや企画に落とし込んできました。

 

今後もurselfやNICATAを通じて、ファッション・食・地域・教育といったジャンルを横断する越境的な活動が期待されます。

海瀬亮の活動は、ファッション業界の枠を超えて、ローカルとグローバル、クラフトとカルチャーをつなぐ新たなライフスタイルの提示とも言えるでしょう。

 

Name.(ネーム)のデザイン特徴とスタイル

「脱・標準化」と再構築の発想

Name.(ネーム)は「標準化された服の構造」を解体し、再構築するアプローチに特徴があります。

2020年春夏コレクション「NON‑STANDARD」では、「脱・標準化(NON‑STANDARD)」をテーマに、ベーシックな洋服の型に対して、アシンメトリーなカッティングやテープ使い、シャリ感のある撥水素材などを加えることで、視覚的なズレや構造の再編集を提示しました。

これにより、通常の服とは異なる視覚的・機能的な揺らぎが生まれ、見る人に“違和感”と“再発見”を与える表現となっています。

 

ベーシック+モダンな再編集性

Name.(ネーム)はシャツ、ジャケット、スラックスなどの基本アイテムを基軸に据えつつ、それらを現代的視点で再構成しています。

とくに、ジャケット・スラックス・ベストといったスリーピースを軸にしたセットアップは、単体でもセットでも着用できるよう設計されており、ベーシックでありながら現代的な汎用性を持つプロダクトとして人気を集めています。

ブランドが持つ“モードとストリートの中間的”というポジショニングは、こうした再編集的なアイテム展開によって支えられているのです。

 

山田拓治による親しみやすいアップデート

2018年に山田拓治がデザイナーに就任して以降、Name.(ネーム)のデザインは「よりリアルクローズとして着られる服」へのシフトを図るようになります。

ブランドが元来持っていたポップな色彩や変則的なパターン使いといったエッセンスは維持しつつも、それをより“今の街や日常”に馴染むよう落とし込むことで、多くの層にとって手に取りやすいブランドへと成長しました。

 

素材とディテールに込めた実験性

Name.(ネーム)の創設期より関わっていた清水則之は「素材を開発するところからデザインが始まる」と語っています。

タータンチェックとヘリンボーンを組み合わせた生地や、機屋のアーカイブからインスピレーションを得た柄の再構成など、布そのものに情報量を持たせる手法が際立ちます。

また、表に出すシームテープやメッシュ素材、ファスナーテープの使用は、機能美を意図的に露出させる“工業的ディテール”として視覚化された表現となっています。

 

シルエットのズレと空間設計

Name.(ネーム)の服は、直線的に見えてじつは袖がカーブしていたり、肩のラインが過剰に落ちていたりと、構造の中に“ズレ”を設計することで、服に独自のリズムを生み出しています。

特に袖周りや肩のシルエットに工夫が凝らされており、「一見ベーシック、だが動きや影に個性が出る」設計思想が現れています。

このズレによる余白やたるみが、“ゆらぎ”や“違和感”として服に表情を与え、着る人の個性を際立たせる効果を持っています。

 

トーン・パターン・カラー構成の戦略性

ブランド初期から継承されているポップなカラーやユニークな柄の使用も、Name.(ネーム)の重要なビジュアル要素です。

とくに山田体制では、過度な主張から一歩引き、配色やパターンの緩急を調整することで、着る人のライフスタイルに溶け込む柔らかさを獲得しています。

素材感との組み合わせによって生まれるコントラストや調和性は、視覚だけでなく“質感”の設計ともリンクした複層的な表現になっています。

 

境界を横断するスタイルの可能性

Name.(ネーム)のスタイルは、“モードかストリートか”といった既存のカテゴライズを越えて、両者の中間地点に成立しています。

そのため、着る側も「どんなシーンでも使える」「どのジャンルにも偏らない」といった自由度の高さを感じることができます。

服自体が固定化されたジャンルの象徴ではなく、着用者のライフスタイルや感性によって再定義されていく柔軟性こそが、Name.(ネーム)の真骨頂と言えるでしょう。

 

まとめ:Name.(ネーム) ブランドリリース

Name.(ネーム)は、「ズレ」と「再構築」をキーワードに、ベーシックな衣服の概念を再編集することで独自のデザイン哲学を築いてきました。

素材開発へのこだわり、構造的なディテール、ポップな色彩や非対称性の導入など、どの要素を取っても単なる流行ではなく、深い思索と感性に裏打ちされた表現が貫かれています。

山田拓治によるディレクション以降は、リアルクローズとしての親しみやすさも備わり、より多くの人にとって「手に取りやすく、しかしどこかに違和感がある」服として存在感を増しています。

モードとストリートの狭間に立ちながら、自由で境界のないスタイルを提案するName.(ネーム)は、これからの時代にふさわしい“着る思想”を体現するブランドだと言えるでしょう。

PROFILE

IDEALVINCI
IDEALVINCIメンズファッション専門WEBライター
古着屋「GARATOIRO」「BUYER'S GARMENT」を運営する元メンズアパレルデザイナー。

セレクトショップのECサイト運用担当後、WEBマーケティング業界に従事し、事業部長などのキャリアを経験。

起業後は30万人以上のファッションユーザーに利用されるWEBメディア「IDEALVINCI」専属ブロガーとしても活躍。「メンズ古着」「リユースファッション」などの情報も発信。

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