
アメリカ製にこだわる高品質な無地ウェアブランドとして、近年日本国内でもじわじわと注目を集めているのが「Bayside(ベイサイド)」です。
Tシャツやスウェットなどのシンプルなアイテムを中心に、ヘビーオンスの生地や豊富なカラーバリエーション、ユニセックスなシルエットなど、着る人を選ばない機能美と実用性を兼ね備えたデザインが魅力とされています。
また、すべての工程をアメリカ国内で完結させる垂直統合型の生産体制や、環境への配慮を意識した取り組みも、ブランドの大きな特徴です。
この記事では、そんなBayside(ベイサイド)のブランドの起源や歴史、創業者の背景、デザインの特徴とスタイルについてご紹介します。
目次
Bayside(ベイサイド)の起源と歴史
Bayside(ベイサイド)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州アナハイムを拠点とするアパレルブランドで、その製品は “Made in USA” を強く掲げています。
創業は1995年で、AST Sportswear Inc. によって設立されました。
ブランド名「Bayside」は、このAST Sportswearの製品ラインの一つとして立ち上げられたものです。
設立当初、創業者である兄弟4人(Mohamed、Ali、Abdul、Omar Dadabhoy)を中心にスタートし、工場施設や製造設備を自ら整え、垂直統合された体制で運営しています。
糸の紡績、染色、裁断、縫製といった工程を自社または系列の工場でおこない、品質管理を一貫してできる構造を構築しています。
成長の歩み
AST Sportswearが最初に活動を始めたのは、小規模な倉庫スペースからで、主にブランク(無地)Tシャツの製造・供給を行うことを目的としていました。
初期の主要スタイルは“Style 5100”という型番のTシャツで、少数の色展開で展開されていました。
社員数や工場規模の拡大も徐々に進められ、1997年にはアナハイム近郊にて 15,000平方フィートの施設へ移転し、裁断・縫製を内製で行う拠点を持つようになります。
その後、米国国内での“Made in USA”製品への需要が高まる中で、Bayside(ベイサイド)はAST Sportswearの主要なラインとして認知度を上げていきます。
特に、すべての工程を自社または協力工場でアメリカ国内で賄う垂直統合の構造が、品質・納期・コストの面で強みとなりました。
2013年には、カリフォルニア州ブレアにある大規模な製造・オフィス・倉庫施設を取得し、従業員数も増え、国内での生産能力が大きく伸びています。
ブランドとしての理念と特徴
Bayside(ベイサイド)は「品質第一」をコアの理念とし、見た目や価格だけでなく、素材・縫製・生産国すべてにこだわる姿勢がブランドの核にあります。
「The True American Made Tee」という考え方のもと、米国産コットンの調達から製品完成まで国内で完結することを重視し、多くの手をかけることを惜しみません。
また、環境やサステナビリティにも配慮しており、製造工程における無駄の削減、染色や製造のプロセスにおける環境負荷の抑制などを実践している情報があります。
日本における紹介と評価
日本国内では、LOFTMANやJalanaなどで取り扱われており、特にアメリカ製のヘビーオンスカットソーや無地のTシャツなどベーシックなアイテムの品質が評価されています。
ショップの紹介文には、「アナハイムに本社を置くアパレルメーカー」「設立当初から変わらない理念として品質第一、MADE IN USAにこだわる」「全工程をオレンジの自社工場で行う」などの言及があり、ブランドの根幹が国内でもほぼ正確に伝わっていることがわかります。
日本のバイヤーや愛用者からは、「丈夫」「厚手」「着込むほどに風合いが出る」「値段が控えめながらも満足度が高い」という評価が散見されます。
Bayside(ベイサイド)は、米国内のアパレル産業が海外生産に流れる中で、国内製造を守り続けてきたブランドの一例です。
1995年という時期に、無地ウェアの供給業者としてスタートし、垂直統合、自社工場運営、アメリカ国内の素材調達などを段階的に拡充していった過程は、ブランドとしての信頼と差別化要素を築いてきた歴史といえます。
日本における紹介・流通を通じて、「MADE IN USAにこだわるベーシックアイテム」というポジションを確立しており、今後もこの根本的な価値観がブランドの核であり続けるでしょう。
創業者:Mohamed Amin Dadabhoy(モハメド・アミン・ダダボイ)
Bayside(ベイサイド)は、AST Sportswear, Inc. の主要ブランドとして、創業者である Mohamed Amin Dadabhoy(モハメド・アミン・ダダボイ)とその兄弟たちによって設立されました。
彼らの歩みは、ブランドのアイデンティティや理念と深く結びついており、その創業ストーリーはブランドの本質を理解するうえで欠かせません。
創業者の経歴
Mohamed Amin Dadabhoy(モハメド・アミン・ダダボイ)はミャンマー(旧ビルマ)のヤンゴンで、インド系のビジネス家系の家庭に生まれました。
1962年の軍事クーデターによりマイノリティ企業家としての活動が困難になったことがあり、家族は1970年にアメリカ、ロサンゼルス近辺に移住。
そこでカスタムシャツや無地のTシャツなどアパレル関連のビジネスをゼロから再スタートさせます。
Mohamed(モハメド)は若い頃、フリーマーケットでTシャツやブランクウェアを販売することで業界の経験を積み重ねていきます。
彼のセールスマンとしての才能、顧客との関係の築き方、人を大事にする姿勢が、その後のブランド運営における大きな柱となりました。
起業のきっかけとAST Sportswearの設立
1994年~1995年のころ、Mohamed(モハメド)とその兄弟Ali(アリ)、Abdul(アブドゥル)、Omar(オマル)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州アナハイムで AST Sportswearを設立することを決断します。
当時、多くのアパレル生産が海外へ移っており、“国内で迅速に無地アイテム(ブランクTシャツ等)を調達できる会社”という市場のニッチが存在すると彼らは判断しました。
これが Bayside(ベイサイド)ブランドの土台となります。
創業当初は、わずかな色数展開の無地Tシャツ “Style 5100” を、約2,000平方フィートの小規模な倉庫スペースから製造・販売を始めました。
兄弟4人自身が販売・営業・梱包・発送などいろいろな業務を兼務しながら、週6日、長時間働くという努力を続けました。
兄弟それぞれの役割
創業者一族であるDadabhoy(ダダボイ)家は、Mohamed(モハメド)をはじめとする兄弟たちが AST Sportswear と Bayside(ベイサイド)ブランドを共に創り上げてきました。
彼らはそれぞれ異なる役割を担いながら、ブランドを支えています。
Mohamed Amin Dadabhoy(モハメド・アミン・ダダボイ)は創業の中心人物であり、セールスと関係構築を主に担っていました。
顧客への対応、見本市での営業活動など、「人に会い、人を大切にする」という部分で非常に重要な役割を果たしました。
Ali(アリ)はCEOの立場で企業運営全体を見渡す役割を担っています。
Abdul(アブドゥル)はCOO(最高執行責任者)として、製造、物流、生産プロセスなどのオペレーション面を統括しています。
Omar(オマル)は CFO(最高財務責任者)として、財務面の管理および企業資金の運用などを担当しています。
人物像と影響力
Mohamed(モハメド)は非常に人間味がある人物として知られています。
彼は見本市や営業の場で、人々に「あなたが最も大切な顧客だ」と感じさせる対応をすることで定評がありました。
また、機械や製造機器のメンテナンスにも詳しく、自ら学び、現場の技術スタッフとも強く関わることを好んだと伝えられています。
彼は 2021年1月14日に心臓発作で亡くなりましたが、その死はブランドおよび業界にとって大きな損失とされ、多くの関係者から敬意を持ってその功績が語られています。
デザインの特徴とスタイル
Bayside(ベイサイド)のデザインは、「無地のボディとしての基盤を重視しながらも、着心地や素材感、カラーバリエーションの豊かさなど細部にこだわる」というスタイルが貫かれています。
無地ボディの厚さと重量感
Bayside(ベイサイド)は特に厚手(ヘビーウェイト)の無地Tシャツやクルーネックをラインナップの中心に据えており、6.1オンス程度のボディが例として挙げられます。
これは普通のTシャツよりも生地が厚く、しっかりとした重みを感じさせ、着込むほどに風合いが出るタイプです。
カラーバリエーションの豊富さ
Bayside(ベイサイド)のデザインの大きな魅力は、カラーバリエーションの多さにもあります。
どんなコーディネートにも合わせやすい定番色から、差し色として使いたくなるような色まで幅広い色展開があることが、デザイン上の強みです。
シルエットとスタイルの方向性
Bayside(ベイサイド)の無地アイテムでは、「ユニセックス」の体型に合うようなゆとりのあるシルエットが多く採用されています。
特にクルーネックTシャツでは肩幅や身幅に余裕があり、長すぎないリベースな着丈で、性別や体型を問わず着やすいデザイン設計がなされています。
ヘビーウェイトタンクトップやロングスリーブTなどもラインナップに含まれており、季節やレイヤードを意識したスタイル作りが可能です。
素材と生産プロセスにおけるこだわり
Bayside(ベイサイド)が掲げるもう一つのデザイン的な特徴は、「素材と生産工程の全てを自社または一連の工程でコントロールする」ことにあります。
編む(knit)、染める(dye)、仕上げる(finish)、裁断(cut)、縫製(sew)の工程を自社で行っており、各段階での品質の一貫性を保つことを重視しています。
これにより素材の風合い、染色の発色、縫製や仕上がりの耐久性といった部分で高いレベルが維持されています。
また、エコフレンドリーな染色や、製造過程で発生する廃材のリサイクルなど、環境に配慮したプロセスもデザインの価値を支える要素となっています。
ブランドスタイルとしてのポジショニング
Bayside(ベイサイド)のスタイルは、「飾らない、しかし確かな質を持った日常着」というポジショニングです。
派手なプリントや装飾を過度にあしらうことは少なく、無地のボディ自体を魅力とするデザインが中心です。
日々の生活で着倒され、洗濯や着用を重ねることで表情を増していくアイテムとして設計されており、過度な流行ではなく普遍的なベーシックを求める層に支持されています。
日本のショップでもその「リーズナブルながら高品質」「MADE IN USA の安心感」がしっかり伝わっており、それがデザイン・スタイルの一部となっています。
まとめ:Bayside(ベイサイド) ブランドリリース
Bayside(ベイサイド)は、無地を極めたベーシックウェアのなかに確かな品質と哲学を宿す、アメリカ製ブランドの代表格です。
ヘビーウェイトでありながら着心地の良い素材感、幅広いカラーバリエーション、誰でも着こなせるユニセックスなシルエットといったデザイン面のこだわりはもちろん、自社一貫の生産体制や環境への配慮といった背景も、プロダクトの魅力を一層際立たせています。
日々の生活に寄り添いながら、長く愛用できる日常着を求める人々にとって、Bayside(ベイサイド)はまさに「飾らない信頼感」を体現するブランドだといえるでしょう。
シンプルだからこそわかる“本物”を、ぜひ手に取って感じてみてください。
PROFILE
- メンズファッション専門WEBライター
- 古着屋「GARATOIRO」「BUYER'S GARMENT」を運営する元メンズアパレルデザイナー。
セレクトショップのECサイト運用担当後、WEBマーケティング業界に従事し、事業部長などのキャリアを経験。
起業後は30万人以上のファッションユーザーに利用されるWEBメディア「IDEALVINCI」専属ブロガーとしても活躍。「メンズ古着」「リユースファッション」などの情報も発信。
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