
トレンドを追うだけでは物足りない、自分らしさをもっと自由に表現したい——そんな想いを持つ人たちの間で、近年再び注目を集めているのが「古着ミックス」スタイルです。
ヴィンテージの持つ独特な風合いや一点物の魅力を活かしつつ、現代的なアイテムやブランドと組み合わせることで生まれる、奥行きと洗練された個性。
この記事では、古着ミックスの魅力やおすすめブランド、コーディネートの実例やスタイリングのコツまで、初心者にもわかりやすくご紹介します。
目次
古着ミックスとは?|今注目される理由と魅力

古着ミックスとはどんなスタイル?
古着ミックスとは、ヴィンテージアイテムやユーズドウェアと、現行のブランドアイテムやトレンド服を組み合わせたスタイルを指します。
特定のジャンルに縛られず、異なる年代・素材・ブランドを横断的にミックスすることで、唯一無二の個性的な着こなしを楽しむことができます。
たとえば、90年代の古着TシャツにAURALEEのスラックスを合わせたり、ミリタリージャケットとモード系スニーカーを組み合わせたりと、その自由度は非常に高いのが特徴です。
“古着そのものを主役にする”のではなく、“今の気分に落とし込む”ことに重点を置いたスタイリングが、古着ミックスの魅力です。
古着ミックスが注目される背景とは?
古着ミックスが再び脚光を浴びている背景には、以下のような複数の要因があります。
サステナブル志向の高まり
新品を買い続けるよりも、リユース品を取り入れることが環境負荷を抑えるという考えが広まり、古着への注目度が上昇しています。
他人と被らない“自分だけのスタイル”を求める流れ
SNSやファッションアプリの普及で「差別化された着こなし」へのニーズが強まり、**一点モノに近い古着を軸にしたスタイル**が支持を集めています。
ブランド側の“古着的感性”の取り入れ
近年では、NEEDLESやUNUSEDなど多くのブランドが、あえてリメイクやフェード加工を取り入れた古着風アイテムを展開。
“古着っぽさ”自体が新たな価値として再構築されているのです。
古着×現行ブランド=現代的で洗練されたスタイルに
古着ミックスが魅力的なのは、単なる懐古主義ではなく、“今っぽさ”とのバランスを取ることで洗練された印象を作り出せる点です。
たとえば、クラシックなチェックシャツにモダンなスラックスを合わせたり、90年代のスウェットにハイテクスニーカーを組み合わせることで、時代感のズレをあえて楽しむことができます。
こうした時代・ジャンルを超えたミックス感覚が、単なる古着コーデとは一線を画し、“おしゃれ上級者”とされる理由のひとつでもあります。
自分の「らしさ」を出しやすいスタイル
古着ミックスは、あらかじめ決められたスタイルに従うのではなく、自分の感性やストーリーを服に反映しやすいという点でも大きな魅力があります。
古着のアイテムひとつひとつには、時代背景や前の持ち主の痕跡があり、それをどう現代の自分のスタイルに落とし込むかが問われます。
それゆえ、コーディネートに“深み”や“説得力”が生まれやすく、ファッションをよりパーソナルに楽しむことができます。
古着ミックスは、自由で創造性にあふれたスタイルです。
トレンドを追うだけでなく、「自分らしさ」や「着こなしのストーリー」を大切にしたい人にこそ、ぜひ挑戦してほしいファッションのひとつです。
古着を活かすメンズファッションの基本ポイント

古着は“主張のあるアイテム”として使うのが基本
古着のアイテムは、色落ち、ダメージ加工、独特のシルエットなど、現行品にはない風合いや存在感があります。
そのため、コーディネートの中で“主役”として1点投入するのが基本的な使い方です。
たとえば、色褪せたヴィンテージのTシャツをモダンなスラックスと合わせたり、ミリタリージャケットを無地アイテムで引き立てたりすることで、古着の個性を最大限に活かせます。
トレンド感のある“今っぽさ”を必ずどこかに加える
古着はときに「ダサく見える」「野暮ったい」と思われがちですが、それを回避するカギは“今っぽさ”をひとさじ加えることです。
たとえば以下のような要素を取り入れることで、古着が“垢抜けたスタイル”に変わります。
- スラックスやワイドパンツなどの現代的シルエット
- トレンド感のあるスニーカーやサンダル
- シンプルなロゴレスのインナーや小物
- スタイリングの抜け感(イン・アウトのバランスなど)
“古いものを着ている”という印象から、“センスで選び取ったスタイル”へと格上げすることができます。
シルエットのバランスを意識する
古着アイテムの多くはビッグサイズやボックスシルエット、あるいは逆にタイトすぎるものも存在します。
そのため、コーデ全体での“シルエットバランス”を整える意識が非常に重要です。
- ビッグサイズのミリタリージャケット → 細身パンツと合わせてYラインシルエットに
- 太めのバギーパンツ → タイトなトップスや短丈ブルゾンでバランスを取る
- 全体的にゆったりさせる場合 → インナーに“締め”の色を加える、足元をスマートにする
こうした工夫によって、古着特有のボリューム感やレトロ感を「こなれた雰囲気」に昇華できます。
カラーは“使いすぎない”のがカギ
古着ミックスでは、アイテムごとに風合いや色味が異なるため、色数が多くなりすぎると統一感を失いやすい傾向があります。
そのため、色使いは基本的に3色以内にまとめるのがコーデを整えるコツです。
おすすめの配色パターン
- ベージュ × 白 × 黒(ミリタリー+モダン)
- ネイビー × グレー × ホワイト(デニム系+キレイめ)
- オリーブ × ブラック × ワンポイントカラー(古着T+モード)
色を絞ることで、古着の“味”がより引き立ち、スタイリングの完成度もぐっと上がります。
古着ならではの風合いを活かす“素材感”の掛け合わせ
古着は新品には出せない生地の経年変化や色落ち、フェード感が魅力です。
そのため、異素材を組み合わせることで、奥行きのあるスタイルを作ることができます。
- コーデュロイ × デニム
- ウール × ナイロン(ミリタリージャケット×スラックス)
- ヴィンテージスウェット × ハリのあるチノパン
“素材で遊ぶ”という視点を持つことで、より一歩踏み込んだ古着ミックスが楽しめます。
古着ミックスにおすすめの現行ブランド10選

NEEDLES(ニードルズ)
再構築デザインやリメイク感のあるアイテムで知られる日本発ブランド。
トラックパンツやパピヨン刺繍が有名ですが、実はミリタリーやワークをモチーフにしたラインも多数展開。
ヴィンテージのジャケットや古着のデニムと合わせることで、“意図的な違和感”が生まれ、ミックススタイルの完成度が上がります。
AURALEE(オーラリー)
高品質な素材とミニマルなデザインで人気のブランド。
古着の色落ちやラフな印象に対して、AURALEEのクリーンなアイテムを合わせることで、スタイル全体が上品にまとまります。
“古着×上質素材”というバランス感覚を楽しむなら、最適なブランドのひとつです。
COMOLI(コモリ)
“日本人の体型や生活に馴染む服”をコンセプトにした、ナチュラルかつ上品なブランド。
生成りやネイビーなど、古着と相性の良い柔らかい色合いが多く、古着特有の風合いとも自然に溶け合います。
ワーク系やミリタリー古着と組み合わせると、落ち着いた雰囲気の中に深みが生まれます。
YAECA(ヤエカ)
シンプルで生活に寄り添うデザインが魅力のYAECA。
古着のクセのあるディテールを中和する“ナチュラルな余白”を持ったブランドで、無地Tシャツやシャツとの相性が抜群です。
“気取らない古着ミックス”をしたい人に特におすすめです。
UNUSED(アンユーズド)
既存の型を崩すようなアプローチで、ストリートとヴィンテージの中間をゆくブランド。
加工感の強いアイテムやアンバランスなシルエットは、古着の持つラフさやユーズド感とよく馴染みます。
グランジ〜ポストモードの文脈でミックスすると非常に映えます。
STUDIO NICHOLSON(スタジオニコルソン)
イギリス発のモダンクラシックブランド。
構築的で洗練されたシルエットが魅力で、古着の“雑味”を整える“軸”として取り入れるのに向いています。
オーバーサイズのミリタリー古着に、STUDIO NICHOLSONのパンツやシューズを加えるだけで、都会的で完成度の高いミックススタイルが実現します。
Maison Kitsuné(メゾンキツネ)
フレンチカジュアルをベースにした現代的なスタイルが魅力。
ロゴTやスウェットは、古着のデニムやカーゴパンツと合わせても違和感なく馴染みます。
“少し上品な抜け感”をプラスしたいときに重宝するブランドです。
Acne Studios(アクネステュディオス)
スウェーデン発のアート感とストリート感を併せ持つブランド。
ヴィンテージのグラフィックTやバギーパンツなど、遊びのある古着と合わせてもバランスを崩さず、スタイリングに現代性を加えてくれます。
シンプルな中にもアクのあるデザインが、古着ミックスに絶妙にハマります。
Supreme(シュプリーム)
言わずと知れたストリートブランドの代表格。
特に90年代の古着(バンドT、デニム、オーバーサイズシャツ)との親和性が高く、“抜け感のあるヴィンテージMIX”に最適です。
スケータースタイルと合わせることで、懐かしさと新しさを同時に演出できます。
Levi's(リーバイス)現行モデル
古着の代名詞的存在であるLevi'sですが、現行モデルでも古着とのミックスに向いたデザインが多数あります。
特に「501」や「505」などのストレートデニムは、ヴィンテージアイテムと組み合わせても違和感がなく、スタイルに安定感を与えてくれます。
新品と古着の“リーバイス・ミックス”も、奥行きのあるスタイリングを作るうえでおすすめです。
古着ミックスのおすすめメンズコーデ例

ミリタリージャケット × テーパードパンツ
王道のミリタリー古着(M-65、L-2B、ユーロワークなど)に、現代的なテーパードパンツを組み合わせるコーデ。
ジャケットの無骨さとパンツの洗練されたシルエットが対比を生み、「野暮ったくないミリタリースタイル」に昇華されます。
足元はレザーシューズやクリーンなスニーカーで締めると、より今っぽい印象に。
“ラギッドなのに上品”という絶妙なミックスバランスが魅力です。
ヴィンテージTシャツ × スラックス
ロックTや企業ロゴTなどのクセ強めなヴィンテージTシャツは、シルエットが整ったスラックスと合わせることでスタイリングに抜け感と洗練を両立できます。
トップスは古着特有の色褪せやプリントの主張があるため、ボトムスは無地で控えめにまとめるのがコツ。
あえてタックイン+ベルト+ローファーでまとめると、知的で都会的な雰囲気を演出できます。
バンドシャツ × モダンジャケット
バンドカラーシャツや刺繍入りの古着シャツを、ミニマルなモダン系ジャケット(例:AURALEE、UNUSED)とレイヤードするスタイル。
インナーに“クセ”を出しつつ、アウターで全体を引き締めるバランスが特徴です。
ボトムスはテーパードスラックスやワイドパンツでもOK。
「シンプルすぎないが、やりすぎない」絶妙な雰囲気を作りたいときに最適です。
デニムオンデニム(リメイク風)
ヴィンテージGジャン+リメイク系デニムパンツによる、“あえての上下デニム”スタイル。
同系色でも濃淡をつけたり、シルエットを変えることで、90s感を出しつつ現代的にアップデートできます。
インナーには無地の白Tやグレーのスウェットを挟み、足元はスニーカーで抜け感をプラス。
“クセ強めの古着コーデ”ながら、色・素材・構成を意識することで洗練された印象に仕上がります。
古着のワイドパンツ × ミニマルスニーカー
軍モノやワーク系のワイドパンツに、AURALEEやMaison Margielaのようなミニマルなスニーカーを合わせるスタイル。
パンツは色落ちやタフな素材感が魅力の一方で、足元にクリーンさを加えることでスタイル全体が“都会的”になります。
トップスはシャツやスウェットなど、シンプルで中間色のものを選ぶとバランス◎。
“無骨さ+洗練”というコントラストを最も体現しやすい組み合わせのひとつです。
古着ミックスを成功させるスタイリングのコツ

“抜け感”を意識したシルエット作り
古着ミックスでは、アイテム単体の魅力だけでなく、全体のシルエットに“余白”をつくることが重要です。
ヴィンテージアイテムは重厚感がある分、上下ともにタイトだと野暮ったく見える可能性があります。
- 上:ビッグサイズのミリタリージャケット
- 下:細身テーパードでYラインを構築
- 上下ともにワイドの場合は、足元を軽くする or クロップド丈で調整
“着られている感”ではなく、“計算されたゆるさ”を演出することで、古着コーデが洗練されて見えます。
異素材ミックスで立体感を演出
古着アイテムは、それぞれの経年変化や素材感が独特な表情を持っています。
だからこそ、異なる素材を掛け合わせることで、スタイリングに立体感と奥行きが生まれます。
- ツヤのあるレザー × フェードしたデニム
- シャリ感のあるナイロン × 起毛ウールパンツ
- ビンテージTシャツ × ハリのあるチノパン
素材のギャップを活かすことで、“こなれた違和感”が魅力に変わります。
生地の質感や光沢・重さを意識しながら組み合わせていくのがコツです。
色数は絞ってバランスを整える
古着はそれ自体に情報量が多いため、全体の配色を抑えることで統一感が生まれます。
特に初心者は「3色以内」に収めると、コーディネートにまとまりが出やすくなります。
- オリーブ(ジャケット)+ 白(インナー)+ 黒(ボトム・シューズ)
- ネイビー(デニム)+ グレー(スウェット)+ 白(スニーカー)
使いたい古着アイテムを主役に据えて、その色に合う無彩色やアースカラーで全体を構成すると、自然なミックス感が出ます。
靴と小物で現代性を足す
古着中心のコーディネートになりすぎると、「昭和っぽい」「レトロすぎる」印象になることも。
それを避けるためには、足元や小物に“今っぽさ”をプラスすることが効果的です。
- クリーンなスニーカー(例:Autry、VEJA、Maison Margiela)
- レザーサンダルやモダンなローファー
- バケットハット、サコッシュ、iPadが入るミニバッグなど
“新しさ”を一部に入れることで、スタイリング全体がアップデートされ、「古いけど古くない」洗練された印象になります。
古着ミックス初心者におすすめの取り入れ方

一点だけ古着を取り入れる方法
古着ミックスが初めての方におすすめなのが、1アイテムだけ古着を取り入れる“スモールスタート”の考え方です。
全身古着にするのではなく、1点だけアクセントとして取り入れることで、無理なく個性を演出できます。
- ヴィンテージTシャツ × 現行のスラックス&スニーカー
- 古着のデニムジャケット × 白シャツ × 黒ワイドパンツ
- 古着スウェット × テーパードパンツ × ローファー
古着を“主役”にして、他をシンプルにまとめる。この構成を守れば、誰でもおしゃれな古着ミックスが成立します。
失敗しにくい古着アイテムとは?
初心者にとって最も失敗しにくい古着は、“サイズ感と状態が安定していて、スタイリングに取り入れやすいアイテム”です。
具体的には以下のようなアイテムがおすすめです。
ヴィンテージTシャツ(程よいフェード)
1枚で主張でき、どんなボトムスとも合わせやすい万能選手。
ミリタリージャケット(M-65、L-2B、ユーロワークなど)
無骨なシルエットが特徴で、モノトーンコーデに合わせやすい。
スウェット・パーカー(チャンピオンなど)
アメカジ感のあるシンプルなデザインで、外しアイテムとしても重宝。
デニムパンツ(Levi's 501など)
ストレートシルエットの定番モデルなら、トレンドを問わず使える。
デザインが派手すぎるものや、極端なサイズオーバーは初心者には難易度が高いため、まずは“クセの少ない良品”からスタートするのが安心です。
ユーズドでも清潔感は必須
古着をおしゃれに着こなすうえで、最も見落としがちで重要なのが“清潔感”です。
どれだけ高価で希少なヴィンテージアイテムでも、ヨレ・シミ・ニオイがあると印象は台無しになります。
そのため、購入時やコーディネート前には以下を意識しましょう。
- 状態の良い古着を選ぶ(縮み・黄ばみ・ダメージのチェック)
- 家に帰ったら必ず洗濯・スチーム処理を行う
- 着こなし全体で“清潔に見えるバランス”を意識(ヘアセットや靴の手入れも含む)
古着は“味”や“風合い”を楽しむアイテムですが、だらしなく見せない工夫を意識することで、初めての方でも好印象な古着ミックスを楽しむことができます。
まとめ:自分だけのスタイルを表現できる古着ミックススタイル

古着ミックスは、過去と現在、無骨さと洗練、個性と汎用性といったさまざまな要素を自由に掛け合わせ、自分だけのスタイルを表現できる魅力的なファッション手法です。
一点投入から始められる手軽さと、奥深いスタイリングの楽しさが共存しており、初心者でも無理なく取り入れることができます。
この記事で紹介したブランドやコーデ例、スタイリングのコツを参考に、ぜひあなただけの“ミックス感”を楽しんでみてください。
ファッションがもっと自由で、もっと自分らしくなるはずです。
PROFILE
- メンズファッション専門WEBライター
- 古着屋「GARATOIRO」「BUYER'S GARMENT」を運営する元メンズアパレルデザイナー。
セレクトショップのECサイト運用担当後、WEBマーケティング業界に従事し、事業部長などのキャリアを経験。
起業後は30万人以上のファッションユーザーに利用されるWEBメディア「IDEALVINCI」専属ブロガーとしても活躍。「メンズ古着」「リユースファッション」などの情報も発信。
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