
Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)は、アメリカ製にこだわった高品質なベーシックウェアを展開するブランドとして、ストリートやカジュアルシーンで高い支持を集めています。
創業者ドヴ・チャーニーの思想を色濃く反映しながら、無駄を削ぎ落としたデザインと豊富なカラー展開、そしてタフな素材感が特徴です。
この記事では、そんなLos Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)のブランドの起源や特徴、創業者の背景、デザインの特徴とスタイルについてご紹介します。
目次
Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)の起源と歴史
創業の背景とブランド誕生
Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)は、2016年にアメリカンアパレル創設者のドヴ・チャーニー(Dov Charney)によってロサンゼルスで立ち上げられたブランドです。
チャーニー氏は、アメリカンアパレルを2014年に解任された後、同社の破産手続き中に機材や工場、そして従業員を引き継ぎ、自らの新ブランドを設立しました。
ブランドの立ち上げ時点で使用された製造装置の約90%はアメリカンアパレルのもので、再起をかけたプロジェクトとして注目を集めました。
一貫体制と「Made in USA」の徹底
ロサンゼルスアパレルの最大の特徴は、ロサンゼルス・サウスセントラルに構える自社工場において、糸や生地の調達から裁断、染色、縫製に至るまでをすべて一貫して行う「縦型生産体制」です。
この体制により、アメリカ国内での雇用創出やフェアな労働環境を実現しつつ、「スウェットショップフリー」を掲げる姿勢を貫いています。
また、製品の素材にはヘビーオンスのコットンが使用され、耐久性と快適性を両立させたTシャツやスウェットが高く評価されています。
従業員の引き継ぎと製造規模
創業初期には、アメリカンアパレル時代の350名以上の従業員をそのまま雇用し、熟練した技術者と共に月間25万点以上の製品を生産できる体制を整えました。
これにより、高い品質を維持しつつ、ブランド独自のスピード感ある製造と納品が可能となりました。
ブランドの倫理性と社会的姿勢
ロサンゼルスアパレルは、製品ラベルに製造に関わった労働者の名前や顔写真を掲載するなど、生産者の存在を可視化するユニークな取り組みを行っています。
これは、エシカルファッションを体現する象徴的な姿勢であり、消費者に対して製品の背景にある「人」を伝える手段でもあります。
また、オーガニックコットンの採用や、環境への負荷を減らす取り組みも積極的に行っており、持続可能性を意識したブランド運営が評価されています。
パンデミック対応と工場閉鎖
2020年のコロナ禍では、マスクや医療用ガウンといったPPE(個人防護具)を製造する体制に切り替え、社会的責任を果たす姿勢を示しました。
しかしながら、従業員の感染が拡大し、結果として4名が亡くなる事態となったことで、公衆衛生当局より感染防止策の不備を理由に工場の閉鎖命令を受けました。
この出来事は、ブランドの倫理性と管理体制に対する厳しい視線を集めることとなりました。
日本での事業展開
Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)は、日本国内においても注目を集め、2019年に公式法人「株式会社LOS ANGELES APPAREL JAPAN」が設立されました。
2018年からはBAYCREW’Sが運営するセレクトショップ「JOURNAL STANDARD」などでの取り扱いが始まり、現在では全国的に展開が広がっています。
手頃な価格でありながら品質の高いベーシックウェアとして、日本市場でも確かな地位を築いています。
ブランドの評価と現代的意義
Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)は、ポップなカラー展開と厚手の素材感、そして徹底した倫理的生産姿勢により、現代のエシカル消費志向に応えるブランドとして支持されています。
一方で、創業者ドヴ・チャーニー氏が過去に起こした一連の問題行動は、ブランドにとって現在も影響の大きい要素の一つです。
しかしながら、ブランド自体の「どう作られているか」「誰の手で作られているか」に注目した価値訴求は、今後のファッション業界にとっても重要な指針となるでしょう。
創業者:ドヴ・チャーニー氏の人物像と軌跡
生い立ちと起業への道
ドヴ・チャーニー氏は1969年1月31日、カナダ・モントリオールで生まれました。
父親は建築家、母親はアーティストという家庭環境の中で育ち、シリア系ユダヤ人としてのアイデンティティを持ちながら、多文化的な感性を養っていきました。
幼い頃にディスレクシア(識字障害)やADD(注意欠陥障害)の診断を受けるなど、困難を抱えながらも、独自の価値観でビジネスの道へ進んでいくことになります。
American Apparelの創業と成功
チャーニー氏は1989年、大学在学中にTシャツの販売ビジネスを開始。
カナダから米国に移り、サウスカロライナ州で生産と販売の実務経験を積みました。
1997年にはロサンゼルスに拠点を移し、アメリカンアパレルを「Made in USA」かつ「スウェットショップフリー」を掲げるエシカルブランドとして一躍有名にしました。
セクシャルで攻めた広告や、自社で一貫生産を行う独自モデルが当時のファッション業界に大きなインパクトを与えました。
解任と新たな挑戦「Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)」設立
しかし2014年、アメリカンアパレルの取締役会は、度重なるセクハラ疑惑や資金管理の不備などを理由にチャーニー氏を解任。
その後、退職金や象徴的役職のオファーを拒否した彼は、2016年にLos Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)を創業。
アメリカンアパレルの機材や従業員を引き継ぎながら、再びエシカル生産とアメリカ製へのこだわりを前面に打ち出したブランドを展開しました。
倫理性と社会的姿勢へのこだわり
Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)は、製造に関わるスタッフの名前や顔写真をラベルに掲載するなど、生産者の“見える化”を行い、高い透明性と倫理性を訴求しています。
また、縫製工の労働環境や報酬面にも配慮しており、「誰がどのように作っているのか」が重視される現代にマッチしたブランド戦略を進めています。
コロナ禍の危機と社会的責任
2020年のパンデミックでは、Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)はマスクや医療用ガウンといったPPEの製造に取り組み、社会貢献の一環として注目されました。
しかし、その過程で300人以上の従業員が感染し、4名が死亡するという深刻な事態に発展。
公衆衛生当局からは感染予防対策の不備を理由に、工場閉鎖命令を受けました。この件はブランドの倫理観と経営管理能力に対する批判も呼びました。
現在の活動と評価
その後もチャーニー氏は業界内で影響力を保ち続け、ニューヨーク・ソーホーに初の直営店をオープン予定とするなど、ブランド拡大を進めています。
2023年にはカニエ・ウェストと協業し、議論を呼んだ「White Lives Matter」Tシャツの製造を請け負うなど、物議を醸す行動も見せています。
また、個人破産申請を行いながらも、再びファッション業界の最前線で活動するその姿勢は、賛否両論ありながらも注目を集めています。
Netflixのドキュメンタリー『Trainwreck: The Cult of American Apparel』では、チャーニー氏の過去と現在の姿が詳しく取り上げられ、再評価の声も一部に見られます。
デザインの特徴とスタイル
ベーシックかつカラフルなデザインの魅力
Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)は、アメリカンアパレルの創設者によって立ち上げられたブランドであり、ベーシックなデザインと豊富なカラーバリエーションを持つアイテムが特徴です。
日本でも「手に取りやすい価格帯」として受け入れられており、定番アイテムとして多数の層に支持されています。
ゆるめのシルエット、アメリカンヴィンテージ感
世代や性別を問わず着られる「少し緩めのシルエット」は、どこか古き良きアメリカンヴィンテージを彷彿とさせる趣があります。
余計な装飾や装いがないシンプルさが魅力であり、着る人の個性を引き立てます。
シンプルでクラシックなスタイルと豊かなカラー展開
Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)のプロダクトは、「シンプル・プレーン・クラシック」というスタイル基盤をベースにしており、幅広いシーンに合わせやすいことがセールスポイントです。
さらに豊富なカラーバリエーションにより、老若男女を問わず人気を集めています。素材や縫製、加工方法にもこだわり、クオリティの高いカジュアルウェアブランドとして評価されています。
タフで肉厚な素材感、保温性に優れたスウェット
Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)は、14オンス級の厚手ボディを採用しており、がっしりとした存在感と耐久性を兼ね備えています。
裏起毛仕様により保温性も高く、冬の寒さにも対応できるタフなウェアとして定評があります。
ストリートスタイルにも馴染むハリのある生地感と、シンプルながら計算されたシルエットが相まって、洗練された印象を与えます。
オーセンティックな大人のスタイルにフィット
ロサンゼルスアパレルのアイテムは「究極のベーシック」と評され、秋冬の大人のワードローブに最適な一枚であると紹介されています。
その理由として、無地を基調としたシンプルなデザイン、タフでありながら柔らかな素材感、そしてビンテージ風の武骨さが挙げられています。
フードの立ち上がりや後染めによる色むらなど、小顔効果やこなれ感を演出するディテールにも配慮されています。
Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)のデザインは、ミニマルであること、素材と縫製の質が高いこと、そして着心地と耐久性を両立させる厚手ボディという三位一体の魅力が詰まっています。
シンプルながらディテールに光る服、そして流行に左右されずに長く愛用できる普遍性を求める方に、非常におすすめのブランドです。
まとめ:Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル) ブランドリリース
Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)は、「シンプル・クラシック・高品質」という軸を持ちながら、現代のファッションニーズに応える優れたデザインを提案し続けています。
ゆったりとしたアメリカンヴィンテージ風のシルエットや、肉厚でタフな素材感は、ただのベーシックウェアにとどまらず、スタイルに深みと存在感を与えてくれます。
豊富なカラー展開や、無地で構成されたミニマルなスタイルも魅力で、流行に左右されない普遍的な魅力を持つアイテムとして、長く愛用できる一着を求める人々に支持されています。
今後も、Los Angeles Apparel(ロサンゼルスアパレル)のものづくりへのこだわりは、ファッションの本質を求める多くの人々の共感を集めていくことでしょう。
PROFILE
- メンズファッション専門WEBライター
- 古着屋「GARATOIRO」「BUYER'S GARMENT」を運営する元メンズアパレルデザイナー。
セレクトショップのECサイト運用担当後、WEBマーケティング業界に従事し、事業部長などのキャリアを経験。
起業後は30万人以上のファッションユーザーに利用されるWEBメディア「IDEALVINCI」専属ブロガーとしても活躍。「メンズ古着」「リユースファッション」などの情報も発信。
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